昨日見た夢・・・・・。

2度目の夢か、それとも本当にあった出来事なのか・・・。

小学校1年か2年だろう。

私は、近所のお寺の駐車場で、弟と一緒に遊んでいた。

テニスボールとプラスティックのバットで、野球をやっていると、テニスボールが草むらに入り、探しても探しても見つからなくなった。

私は弟に、
「もういいよ。石でやろうぜ!」
といい、草むらから出てきた弟に、石を投げさせた。
パキ〜ン!という、やけにいい音を鳴らして、プラスティックのバットは、弟の投げた石っころを「芯」で捉え、そして、二つに割れて、ぐんぐんと遠くへ飛んでいった。

予想外の飛距離。

自分の想定していなかったほどの飛距離に、
「やった!出ました!ホームラン!」
と大声で叫んだのも束の間。次の瞬間、恐ろしい恐怖感が私を襲った。

ぐんぐん飛んでいく「石っころ」は二つに割れて、その先は、駐車場とお寺の窓がある。

(ダメだ!そっちじゃない!そっちに行っちゃだめだ!)

意思を持たない石は、私の意志に反して、行ってはならない方向へ、ぐんぐん飛んでいく。
二つに割れた石ころの、その片方はお寺の窓。
そしてもう片方は、駐車している車のフロントガラス。

「ガッシャ〜〜ン!!」
「ピキン!」
2ヶ所で響く、嫌な音。
二つに割れた石ころの、その片方は、見事にお寺の窓を割った。ど真ん中だった。

そしてもうひとつの石ころは、駐車している車のフロントガラスに当たった。乾いた音と同時に、フロントガラスは、全体にくもの巣を張ったみたいにヒビが入った。

その時、私は車のガラスは頑丈で、なかなか割れず、ヒビが入るのだと言う事を知った。
厳密には、そのように作られているガラスだという事は、知らなかった。

2〜3秒だっただろうか・・・・・。

私と弟は、互いに顔を見合わせ、立ち尽くした。
瞬時に体が動いた。
逃げ出していた。弟に手招きして、寺の裏側へ廻り、裏口から逃げた。
走って走って、いつもの公園へ出たが、本能的になのか、人が大勢いるところが嫌になり、また走った。弟も一緒に走った。

そして家に近づいてきた時、弟が言った。
「お兄ちゃん、ばれるでぇ〜!」
私は何も答えず、走り続けた。
家に着いて、何事もなかったように過ごした。

次の日。

父の運転する車に乗っている時だった。
私は、お寺の窓はまだしも、車のガラスは大変な事になっているんじゃないかと思い、ハラハラドキドキしていた。
なぜなら、窓ガラスは、学校ですでに何枚も割っていたから。掃除の時間に、濡れた雑巾を投げて割り、喧嘩して、逃げた相手を追いかけて、教室のドアを閉められたとき、ドアのガラスに向かってパンチして、ガラスを突き破ったこともあるから、窓ガラスは叱られて終わるという感覚を持っていた。
しかし、車のフロントガラスは、完全に警察に逮捕されると思っていた。
牢屋に入るのか・・・・・。自分から言い出せないまま時間がすぎたが、ついに父に、こんな質問をした。

「ねえお父さん。石って指紋付くの?」
「そりゃあ、付くんじゃないか?」

それを聞いた私は、あの石を投げたのは弟だから、弟の指紋が出てしまう、そうすると、弟が逮捕されてしまう・・・・。そう思い、なお一層緊張した。
(そうだ・・・。二つに割れたから、指紋は検出できないかもしれない!)と、自分に言い聞かせたりした。


実は、あの時の出来事は、そのままになっている。父にも正直に言わず、誰にもバレなかったのだ。

それをいいことに、言い出せないままでいたのだが、今でも時々その時の事を思い出す。

そして記憶も薄れた。時々、あれは夢だったのではないかと、そう思うのだ。

そして昨日、私は夢の中であの頃の私に戻り、まったく同じ体験をした。そして、まったく同じように、誰にも言い出せないまま、罪の意識を抱えたまま、目が覚めた。

あれは本当の出来事だったのだろうか・・・・・。もう、誰に謝っていいかもわからなくなってしまった。もしかしたら本当に夢かもしれない。

でも、小学校時代、6年間で私が割ったガラスが、40枚以上にもなるという、その事実を5年生の担任だった、「矢崎先生」から聞かされたとき、23歳だった当時の私でも、それは愕然とした。
どんなガキだったんだ?俺って・・・。