夕日

神戸を望む西宮(にしのみや)の夕日。

思えば夕日なんて久しぶりに見た。
浜松に居た頃は、夕方遠方から高速道路で会社に戻る時、夕日に向かって車を運転し、眩しい西日に悩みながら運転したものだった。

しかし東大阪に来てから、私は外出も減り、机に向かう時間が増え、ずっと夕日を見ていなかった気がする。








子供の頃を思い出した。
私の育った家の前からは、富士山がドカンと大きく聳え立っており、冬の夕方になると、夕焼けが富士山の雪をオレンジ色に染め、学校からの帰りにその富士山の姿をボーッと眺めながら帰った。


(あの頃はよかったなあ)


こんな風に思う大人になるなんて思わなかった。
昔を懐かしんで溜息つくなんて。
私はいつだって、今の自分が一番好きだったのに。


15年前に中途入社した時、配属先の上司に注意された事がある。
自分の事を『僕は・・・』といっていた私に、
「ばかじゃないのあなたは〜。自分の事は『わたくし』って言うんですよ〜?!子供じゃないんだから〜〜!!」

と言われ、それ以来、「わたし、わたくし」と自分を呼ぶようになった。
確かにそれは正解だ。
でも、周りには僕って言う大人だってたくさんいる。
サラリーマンじゃなければなおさら自由に自分を呼ぶ。

私はあれからずっと自分を抑制してきた。

生意気にならないように。

態度がでかく見えないように。

つまんないことしてきたんだなあ。バカだったなあ。



そんな事を思いながら眺めた夕日でした。