バルカン人

私の妻は『天然』だ。

UFOと、宇宙人の存在を深層心理で完全に肯定している。
以前ブログに書いたが、震災の後、福島第一原発がどうにもならない状況にあった頃、私とお出かけするバスの中で、しんみりした顔でこう言った。

「ねえ〜すみよしぃ〜。もうこうなったら、宇宙人に頼むしかないじゃんねえ〜。」

「え”!? な・なにを??」

「だからさあ〜、原発の事故をさあ〜、人間じゃむりじゃん。」

「は・・・はあ・・・。」

「宇宙人に頼むしかないよねえ〜。」「すみよし呼びなよ〜」

「え”!誰を呼ぶの?」

「宇宙人にきまってんじゃン。すみよし、宇宙人、知り合いいるんでしょ?」


妻と私は高校の同級生の同じクラスの隣の席だった。だから、互いに「すみよし」「たけうち」(妻の旧姓)と呼ぶ。
ちなみに、私は妻に、自分は宇宙人の知り合いがいるなんて、一度も言った事はありません。

「な・なんで宇宙人を?」

「だってさあ、もう人間じゃ無理なんだしさあ、宇宙人だったら、ササッと片付けてくれるんじゃない?」
(妻は至って真剣である)

「い・・いや、宇宙人でもそうそう簡単にはいかないかもしれないよ」

「でもさあ〜、すみよしの知っている宇宙人なら、なんとかビームとかで消しちゃったりできてるじゃん!」
(こいつ、何言ってんだろう。俺、宇宙人知り合いいねえし。爆)
(はは〜ん。こいつ、俺がいつも観てるスタートレックを頭に浮かべてるなあ??)
(よし。もう少し付き合ったるか。ぷぷっ!)

「そうだよなあ〜。バルカン人にでも頼むかなあ〜」

「そうしなよ!すみよし〜!もう絶対無理だもん〜」

そして私たちの、この件に関する会話はここで終わっている。
だからきっと妻は、その後、私がバルカン人と打ち合わせして、福島第一原発の収束方法について、色々頼んだと思っているかもしれない。
いや。
単純にもうそのことは忘れているな。

しかしスゲエ爆笑だ。



妻は5秒で、ほとんどの記憶を喪失する。
昨日、買い物するのに駐車場で、子供は車内でドリフのDVD観ながら待っていると言うので、妻に「キー(車の鍵)」を渡して車を降りた。
買い物をしていると、妻も来たので一緒に買い物をした。
会計を済ませ、車に戻る。
運転席に座り、妻に一言。
「鍵は?」
すると、
「え”!!すみよし持ってんじゃないの?」
「いや、降りるとき渡したろ」
「え・え・え・え!!ウソだあ〜!付いてんじゃないの?」

スターターに差し込まれていると主張する妻だが、それは私が運転席に座った瞬間に確認済み。

「いや。付いてないけど」

「ええ!あ!きょうたろう!あんたでしょ!」

と、ドリフ観ている長男のせいにし始める。

「僕じゃないよ。」

「ほらっ!こずえ〜!あずさ〜!だあ〜れえ〜!!鍵わあ〜〜!」



私はつい5分前の事なので、当然覚えているが、車を降りるとき、まだ買い物に同行するか決まっていなかった妻に、ほいと、鍵を渡している。


「いやいや、りさちゃんに渡したじゃん!」と私。

「ええ〜〜!うそお〜〜!絶対違うと思うんだけど〜〜!」

もうこうなったら無理だろう。私が探し始める。
単純に、運転席と助手席の間にある、サイドボックスを開けた。

そこに普通に入ってた。

「あ。そうだった」と妻。


完全に無関心な子供たち。ドリフに夢中。
何事もなかったかのように、「あったからいいね」と、まだ出発しないのかという顔して、前を見ている妻。
愕然とする私。


結婚して以来、数千回一緒に出かけているだろうけど、出かける時に必ず何かを忘れる。

サイフ。
お化粧品。
ハンカチ。
ティッシュ
カギ。
靴下。

パンツ。    ・・・・はないけど。


そんな私のかわいい妻が、今年度、奈良県の幼稚園PTA連合会の役員に!
人前でスピーチしたり、何かと発表したりすることになった。
作らなければならない書類は、全部私がゴーストだ。
もちろん文書についても私がゴーストだ。
しかし、これほどまでの天然熟女が、PTA役員なんぞ出来るのかあ!!
でも、すごい良い経験だろうなあ〜。


妻は私がバルカン人と友人であると思い込んだまま、最近ご無沙汰気味だった『スカート』を穿きだした。
PTAの会合や式典の際、スーツを着用する必要があるからだ。

うんうん。良いことよ。君はスカートがよく似合う。

ね!
綺麗な足だもん。

でも普段のパンツ系も最高よ!天然でもオーケー。君ならば。
昨日の二人のウオーキング
モケケ付けてどこ行くの?
後ろで歩き、妻の香りを楽しむ変態な俺。
ムフフ。いいじゃん。夫婦だもん。

次はどんな天然振りを見せてくれるかなあ〜〜。