緊急通行車輌証明書

11日の地震発生から丸1週間を迎える。
津波に見舞われた東北の太平洋沿岸部の被害は甚大で、死者・行方不明者は1万5000人を超えた。石油燃料などの物資不足も解消されていない。被災地の市民生活に深刻な影響が出ている。また、経済活動に与える影響も深刻だろう。
さらに原発事故が周辺地域に深刻な影響を与えている。現在も懸命な作業を続けている現場。テレビでも映像が公開されたが、原子炉建屋は見る影もない。水素爆発や火災によって、壁が壊れ、使用積み核燃料棒保存プールが剥き出しになっている。30℃に保たれていた冷却装置も、電力障害で機能していない。水蒸気による白い煙を見ると、少しづつ水温が上昇しているのだろう。6000本以上の核燃料棒。数年間冷やしてきたとはいえ、プールの水が完全に蒸発したら、剥き出しになった使用積み燃料ほど危険な物はない。それだけでも十分放射線を出すだろう。温度が上がり周りの金属が溶けて、燃料が剥き出しになれば、放射線量も大幅に上がるだろう。
一方では、今回の福島第一原発の事故を、チェルノブイリと同じ次元の事故だとは考えない方が良いのかもしれない。基本的に地震発生と同時に、核反応分裂も停止していた上で、電力が遮断されたことによる原子炉内の温度と圧力コントロールがうまくとれずに起きている事故だから、チェルノブイリとはまったく性質が違う事は事実だろう。原子炉が活動していたさなかに大爆発を起こしたチェルノブイリは、放射能物質をあたりに撒き散らし、核分裂中の物質が気流に乗って世界中に飛んでいったのだから。
しかし、日本は島国で、国土面積も狭いし、人口密度も高い。チェルノブイリのような事にはならなくとも、いづれにせよ、燃料棒が剥き出しになれば、ますます誰も近づけないから、次第に核燃料も剥き出しになるだろう。
そうなれば原発周辺には致死量の放射線が飛び交う。
祈ろう。私にはそれしかできない。
電力会社の会見や政府の会見の内容を、事実を隠していると非難する人もいる。けど、私はそれほどでもないと思う。もしそうだとしても、連日の報道で、今福島第一原発で何が起きているか、もうわかったからいいや。
あとはむしろ、国民がパニックにならないように、気をつけて発表した方がいいのかもね。
日本国内観測史上最大のマグニチュード9.0。
高さ10メートルを超す大津波
街は押し流され、岩手、宮城、福島の太平洋沿岸部は壊滅的な被害を受けた。
跡形もない街を、立ち尽くす人々が眺める。
呆然とした気持ちを奮い立たせ、
雪の積もる氷点下の気温の中で、じっと耐えている。
また、避難所で亡くなる人も出ているとの事だ。
一刻も早くマットレスを運びたい。
コンテナの段取りがなかなかつかない。
緊急通行車輌確認証明書がないと現地に入れないんだ。
今ここにマットレスがあるのに。
いつもの運送会社でなら、いくらでも車を押さえるのに。
もどかしい。