太陽系と蟻(月とすっぽん)

本当に残念な事になった。福島第一原子力発電所の事故で、東電は、施設内にたまっている低レベルの放射性物質に汚染された水を海に放出した。「緊急時のやむをえない措置」として政府の了承するしかなかったのだろう。しかし、低レベルとはいえ、災害による影響からではなく、自ら放射性物質を海に放出するという異例な事態は、いよいよ以って、東電も自らが海洋汚染を行う選択を取らざるを得なくなったことに、相当なショックなのだろう。ニュースの東電の記者会見で、担当者は涙を流していた。記者会見でそれを発表した東電社員の涙を見て、マスコミの中には、「同情を集める為の芝居だ」と書く者もいたが、それは少し穿った見方だと思う。今回の件にせよ、原発事故を想定していなかった甘さにせよ、絶対安全を売り物にして、国民や住民を半ば騙してきた東京電力という会社の体質と、経営者は、これからその責任を取る必要もあるだろうし、すべてを総括して、検証し、徹底的に問題を抽出して、改善していかなければ、今後の日本の電力事情を立て直す事は出来ない。
しかし一方で、いまだに原発施設内で作業にあたっている社員は、缶詰とスナック菓子、カンパンなどの食事だけで、事務所の床に寝泊りして作業にあたっているのが実情なのだ。その事実には、国民は全員感謝の気持ちで一致していると思う。今回の記者会見で汚染水放出を発表した社員だって、メディアの前でさらし者になど、なりたくなかっただろう。

フランスやアメリカの専門家や民間企業が支援に来ているが、未だに具体的な解決案を出せていない。日本が側の指揮が取れないことが原因か、それとも単純に解決案がまだ出ていないのか。

しかしいずれにせよ、抜本的に解決させるには、何十年とかかるだろう。
原発とはそういうものだ。時間をかけて核反応が安定するまで待ち続け、さらに放射線量が激減するまでに要す時間は計り知れない。それまでにロボット作業を可能にする技術を開発し、ようやく原子炉の解体に入れるだろうが、放射線は尋常ではないだろう。
改めて、本当に大変な事故が起きたと思う。

被災地支援やボランティア活動、復興支援、経済活動と、これからも継続して日本が一丸となって「がんばろう日本」で向かう道は険しいが、それは必ずできる、やり通せる。しかし、原発の今後は、精神力や気持ちでは立ち行かないことだ。原子力核分裂は人間の事なんて考えてはくれない。
これから原発の監視を、国民がちゃんとやらなければならない。
伝言ゲームを繰り返しているだけの「原子力安全保安院」は、まったく信用できない。情報を捏造するし、判断は絶対にしない。責任を東電に押し付け、判断は委員会に追従するだけだから。

それにしてもソフトバンクの「孫」さんには驚いた。100億円の寄付と、引退までの役員報酬を、すべて寄付に充てると・・・・。
この「経費かかるなあ〜」というブログの題名が、物凄く、こっぱずかしくなる。これはもう、心意気とか、やさしさとか、がんばろうとか、そういう域を脱しているな。完全に純粋な「社会貢献と使命」だろう。すごい。
すごすぎる。

けど、我が家の長女、高校進学にあたり、昨日制服購入してきました。しめて6万円だそうです。(大粒涙)
6万円で泣く父親と、100億円以上、国民の為に尽くす「孫正義」さん。なんという「差」。月とすっぽんどころじゃないやん。太陽系と蟻くらいの差がありますな。
でも言わせてください。経費かかるなあ〜