緊急歯医者

今日朝起きて異変に気付いた。なんだかとても歯が痛い。というか、歯と歯茎がズキズキして、ほっぺたの方までガンガンする。とはいえ、さっさとシャワー浴びて、着替えて会社行かなきゃならんからと、とりあえずロキソニン飲んで、準備する。
「行きたくねえなあ〜・・・歯が痛くてさあ〜〜」
と妻に甘えてみる。
「休むの?」
と冷たく言う妻。
「休めねえよ〜。やることいっぱいでさあ〜」
と、言っても始まんない愚痴をこぼす私。
「ね。」
と軽く流す妻。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・会社送って・・・。」
と私。電車で行きたくないから。
「ええっ!なんでよガソリンもったいない〜!」
と妻。そりゃそうだ。
「いいじゃん。30分くらい〜。それでまた今月も給料ごっぽりやんか!」
とこれしかないサラリーマンの弱い説得力。
「んもう!じゃ早くして!」
と、結局車で送ってもらった私。車中で、イタイイタイとグズグズする私に、会社の近くで歯医者さん行きなさいよと妻。
私は歯医者がとっても嫌い。歯医者のすることって、痛いことばっかりじゃん。それでも妻は、車の中で、左手で私と手を繋ぎ、片手運転。(おまわりさん、すみません)
会社に着き、名残惜しく妻が立ち去る。車から降りるまで妻と手を繋いでいた私を見た入社間もない若手から、「部長、朝から燃えてますね!」と声をかけられる。
「いや^それどころじゃないんだよ〜」と悲しい声で出勤。
左ほほを押さえ、痛そうにしていると、先日同じような痛みに襲われた部下が近くの歯医者を紹介すると言ってくれた。部下が電話し、予約はいっぱいだが、痛いならひとまず着てくださいという事に。
部下の運転する車で歯医者到着。お医者様にご配慮いただいたのか、ものの10分で治療室へ。検診してから、先生が一言。
「うん。これは今日、穴開けちゃいましょう!」
(あ・・・穴開ける??)
恐怖で体が固まる。看護婦さんに聞いてみよう。
「あの〜、穴開けるって痛いんじゃないですか?」
「そうですね〜。痛いでしょうね〜」と看護婦さん。
もうだめだ。覚悟がいる。ここで覚悟しなきゃ、余計に怖い。
レントゲンとって、原因の歯を発見。それまで気付かなかったのだが、歯茎が腫れているらしい。詰めた歯の中で炎症したようだ。
(やだな〜・・・。やだな〜・・・。)
治療開始。銀歯はずしてゴリゴリ削る。思いのほか痛くない。一旦休憩すると、歯科助手のお姉さんが、「すみよしさん〜!歯茎の方もちょっと治療しましょうね〜!痛くしないようにがんばりますからねえ〜!」とガッと私の口を開ける。
「ホガホガッ」と私。
突然、グイグイと歯茎を押し始める。歯と歯茎の間になんか入れてるみたいに痛い。ビクンビクンと痛みで体が波打つ。
「ごめんね〜すみよしさん〜!がまんしてね〜」と歯科助手のお姉さん。
そのうち、やたらに血のにおいがするなあと思ったら、うがいしてくださいと言われ、口の中の液体をベエッと吐き出すと、真っ赤な鮮血がドバッと出た、水でぶくぶくっとしてからまた吐き出すが、まだまだ真っ赤な鮮血が出る。
「はい、倒しますよ〜〜」と歯科助手。またまた歯茎をグイグイと削る。歯と接しているところを多分切ってんだろうか。
痛いのなんのって。
口の中血だらけにして、うがいする前に「ひええ〜」と小さな声を出すと、歯科助手のお姉さん、「すみよしさん〜、ドラキュラみたい〜」ってあほか!!
その後も再度穴あけ。あの歯医者独特の「キュイ〜〜ン!」という音を、嫌というほど聞かされて、また部下に迎えに来てもらって、うつむいて帰社した。
とにかくお昼でお腹空いたが、口がうまく動かない。食べる気がするのは大好きなラーメンなので、近くの中華屋さんへ。
なんとか右の歯で食べるんだけど、汁とか、麺が、ひょろっ!ひょろっ!とこぼれちゃう。なじみの店、おばちゃんが、心配そうに、どうしたの?と聞いてくれるが、
「ひょう、ひゃがひひゃくひぇ、うひゃくひゃひぇれひゃい」
と、何言ってんだかわかんない。
ちなみに、「もう歯が痛くて旨く食べれない」と言ったんだが。

明日も来てくださいと言った歯医者さん。腕は良かったが、ドラキュラじゃないんだからと、いらんツッコミしてくれた歯科助手さん、明日は担当降りてくれ・・・。