マックを美味しく頂く方法

日曜日の朝、愛しの妻と1時間ウォーキングした。前日夜、われら夫婦と部下達と、シコタマ飲んだアルコール。二人で仲良く汗に変えようと出発しましたが、歩き始めて10分、目の前に見えるマクドナルド。
「ねえ、朝マックしない?」
と妻を誘う。
「いいよ。すみよし食べなよ。付き合ってあげるから。」
とやさしい妻のLISAちゃん。
ソーセージなんとかなんとかというバーガーと、ホットコーヒーのセットを注文。
妻はホットのみ。
「ゆっくり食べなよ、気持ち悪くなるよ?!」
と、前日のアルコールで奈良漬け状態の私を気遣う妻。
「うん・・・。」
と、ゆっくり、落ち着いて、よく噛んで、ホットコーヒーをすすりながら食べた。
あと2時間もすれば、日曜だというのに、仕事に出かけなければならない私を、やさしく気遣う妻の顔を、じっと見て、目が合う。

その時、なぜかふと、大昔、小学校の頃、初めてマクドナルドなるものを知った、小学校5年生の時のことを思い出したのだ。




昔はマックなんて地元になかった。
「サンデーズ・サン」という、マックでもロッテリアでもない、よくわからないハンバーガーショップが、後に出来たが、それでもマックが地元に出来たのは、中学2年生頃だったのではないだろうか。

なんらかのおかずが、パンに挟まれている食べ物は、お袋が作るサンドイッチしかなかった時代。お袋はそれでも、焼いた食パンで、タマゴやベーコン、ハムなどを挟んだり、生クリームとバナナとか、イチゴとクリームなどを挟むと言う芸当を見せていたが、ただ腹が減るという餓えたガキの私には、そのサンドウイッチが、特別感動するものでもなく、ましてや、バーガーなどと言う概念は、私の中に存在した事のない食べだった。

その小学校5年生の夏。
学校の夏休みの宿題で、私は、私自身の体温を、夏休み中、測リ続けるという、自由研究を選択。ただ体温を測るだけでいいという、楽な自由研究の題材を発見した私は、毎日毎日、ちゃんと体温計を脇に挟んで、水銀の目盛を読んでいた。
ところが、測り始めてすぐに、気になることを発見した。
それでも数日は黙っていたのだが、いつ測っても、どこで測っても、必ず体温が「37.2℃」とか、「37.4℃」とか、お袋が、いつも、私が風邪をひくと、医者に行く目安にする、「37℃」という境界線を楽勝で越えた体温を検出しているではないか。
4日ほど経過して、思い切ってお袋に、
「ねえおかあさん。僕、毎日37℃。」
と言ってみる。

それからのお袋は早かった。
行き付けの医者。⇒地元の総合病院。⇒ラチがあかんと親父に連絡。⇒仕事で抜けられんと知るや否やおじいちゃんへ電話。⇒呼び出す。⇒東京の慈恵医大のおじいちゃんの知り合いに電話。⇒おじいちゃんに引率を指示。⇒私、おじいちゃんと東京へ。⇒1日検査入院。

と言うわけで、結果は後日だが、小学校5年生の私。その日の検査で生まれて初めて浣腸を経験。
「でる!でるぅぅ〜〜〜〜〜」
という私を、
「まだがまん!がまんするのよっ!!」
と看護婦さんに手を掴まれ、トイレに行かせてもらえない苦しみを経験し、昇天。
物凄い勢いですべてを輩出。
腸内スッカラカン
とっても綺麗になりました〜〜〜と、その数分後、全身がガタガタ震えるような空腹感が襲ってきたのだ。
「おじいちゃん!もうだめ!お腹すいた!死ぬ!」
小学校5年生のセリフとも思えない、切羽詰った空腹をアピールする言葉を吐く私。
「おうおう!じゃ、そこで食べよう」
と、年に数回、海外旅行に出かけている、海外通のおじいちゃんが示したところが、「マクドナルド」だったのだ。

ビッグマックと、ポテトと、コーラを注文。
小学校3年生でスイミングの選手クラスに入って以来、炭酸ジュースを禁止されていた私も、そんなことはまったく知らないおじいちゃんのおかげで、コーラのLサイズ。

あの時のビッグマックの美味いこと!
初めて食べた、あの感動の味に私は、スッキリした体の芯までハンバーガーに浸かり、抜け出せない。
「おじいちゃん。もう一個食べていい?」
「んあ?あ、い・・、いいとも・・・!」
というおじいちゃんのおかげで、マックの初体験はビッグマック2個とコーラのLサイズ2杯。
食う食う。
飲む飲む。
浣腸で体スッキリ!
美味い美味い。





そうか・・・・。あの時、マックがあんなに美味かったのは、浣腸したからだったのか!
日曜日の朝焼けをバックに、微笑む妻に一言。

「ねえ、浣腸する?」

「変態っ!」(バシィッ!!)

話を「はしょる」(端折る)と、誤解されちゃうなあ〜。