黒子

今年の夏ももうそろそろ終わろうとしている。

あっけない夏休みだったがそれでも一応私も休みをとることが出来た。

今年はどこにも出かけず、ほんの少しプールに下の子2人を連れて行った程度。

長男の水泳の県大会と、長女の声楽コンクール、次女はハンドボールの部活一年生で今年の夏は部活一色だった。



長男は中学一年の夏、もともと野球部に入ろうと思っていた最中、私が水泳の日本選手権に連れて行ったことから始まって、急に水泳部に入ると言い出して、スイミングにも通わないままいきなり新人戦に出場。
もちろん素人の泳ぎとタイムで歯が立たなかったが、それでも40人程度の出場者の中で16位。
私が競泳選手であった事で、ついついトップスイマーと比較するから、遅いレベルだと思いがちだが、考えてみると突然出場した100mの平泳ぎで、県内の同学年で16番目に泳いだ息子は立派なもんだ。
泳ぎもなんだか少し様になってる。

一年生の夏が終わった後、本人にスイミングへ入る事を進め、遅ればせながら水泳選手を越え、競泳選手の仲間入りを果たした。

それから2年。

100mの平泳ぎで、1分30秒から1分10秒まで20秒のタイムを縮め、県大会で4位入賞。近畿大会への出場資格を獲得。
惜しくも近畿大会ではベストが出なかったが、思い起こせばあの一年生の夏、ひょろひょろの体で、力なく泳いでいたあの姿を思えば、よくよく成長したものだ。



決して過剰な期待をする気はないが、どうせ競泳選手としての道を選んだのならば、とことん追求して欲しい。
頂点への道は険しいが、そこに到達しようとしまいと、そこへ目指して突き進む事がどれだけ美しい道のりであるか、それを私は彼に教えたい。






長女の声楽では、コンクールで銀賞を獲得。

会場へ行けなかった私は、録音したMDを聞かせてもらったが、なんと信じられないほどの美しい歌声に、体が震えるほどの感動を覚え、大学の進学を音楽大学にする彼女の気持ちと、それを応援する私たち両親の、改めての幸せを感じた。





どんな結果でもいいが祝福する私たち親は、彼らの栄光や賞賛を、ただ真摯に純粋に見つめるだけでいい。
与えたいと思う私たち親にできるそのままを、精一杯与えればいい。
言うまでもないが、そこに見返りなど必要ない。
自分が喜べると言う事は、それを享受させてくれる相手を讃える事で、素直な感謝を示すという返礼を予感させてくれるものだ。
この子たちと出会えてよかった。
君達はそこにいて、生きているだけで美しい。
そして君達は常に人生の主役である。
私たち親は、黒子に徹し、君たちにできる最大の教育を残したい。

祝賀する相手には、ただ純粋に喜びを与えてくれた創造主に対してただ精一杯の祝福を以ってお礼する事とも言える。







多い日で一日500人以上の方が読みに来てくれる私の日記だが、その分、何でも好き放題に書けたこのブログの開設時とは事情が異なってきた。
久しぶりに関わった懐かしい業界は、やはり反面教師が多い。
言いたい事は沢山あるが書くべきではない事ばかりとなった。



主役は常に美しい。

脇役は脇役を真摯に演じよう。

黒子は黒子としての重要な仕事を行なう。それでいい。
観客が喜びを持ち帰ってくれることが主役の最大でただひとつの目的である。
主旨を見失うことなく仕事をしている友に、できる精一杯の支援をしたいと思う。


この世界は、脇役でもなく黒子でもなく、招待者でもない黒い影が、いつも明るい光の世界を、暗くどんよりしたものにしてしまう。