悪意の意図

マンガの【美味しんぼ】で、福島第1原発を訪問後に鼻血を出すシーンが画かれていることについて、行政と政府がこぞって批判を始めた。


福島県双葉町の前の町長が主人公の極度の疲労と鼻血の原因を、【被ばくしたからですよ】と語る場面がある。


昔学生の頃、この作品の掲載されている、【ビッグコミックスピリッツ】を読んでいたことはあったが、残念ながら最近はまったく読んでいなかった。

新聞でこの件を知り、ネットかなんかで内容を知ったが、最近は本当によく人の作品を批判する【馬鹿野郎】が増えた。

しかも今回は、石原伸晃環境相がマンガの内容について燃えている。

その発言を聞いたが、専門家という、何を専門なのかわからんやつの存在を出し、そいつらによると、福島第1原発の事故による被ばくと、双葉町の住人で最近よく起こっている、【鼻血】とは、因果関係はないという評価が出ているとのたまわり、さらに、【風評被害を引き起こすようなことがあってはならない】と言った。

出た!風評被害

そしてなんたるいことか、【描写が何を意図して何を訴えようとしているのか、全く理解できない】とまでいいよった。

マンガの内容の意図していることすら読み取れないと豪語する嘘の塊で生きている政治家。

とにかく福島原発の事故をなかったかのようにプロパガンダし、自民党政府の原発推進政策に水を差されたくない事に必死。なんでもとにかく風評被害と言えばお茶を濁せると思い込んでいる。



きっとこの作者は、石原環境相によりもはるかに何度も現地を取材し、住人から聞き込みを行い、調査に調査を重ねた上で作品にしただろう。その作品をこの自由主義国家で、原発利権のために弾圧しようとする政府や行政にはおおいなる憤りを感じる。



日本という国家の政治家達はいつも世界に立ち遅れる。

自然エネルギーでもいい。化石燃料原子力に頼らないエネルギー政策を、どうして国を挙げて取り組もうとしないのだろう。

今こそ、古代エジプトでピラミッドを作ったように、国家を挙げて新しいエネルギーの開発を進めるときなのに、未だに原子力の被害を隠し、なんでも風評被害に捻じ曲げ、様々な可能性と懸念について、真剣に政府として取り組んでいない。



すこし原子力災害について勉強した人ならば、あの事故によって及ぼされた、原発周辺の土地の被曝が絶大なるものかわかるのに。


福島に住む人を差別したり、福島に帰りたい人を軽蔑したりする日本人は糞喰らえだが、被曝の予防対策についてまで、その関連性に蓋をして、見えなくしてしまおうとする政府。
私は原子力事故によって地域周辺に細かい塵となって飛び散った放射線物質が、除染という聴こえのいい言葉によって、本当にもとの土地に戻せるなどとは思えない。
原発周辺の地下水や海水が、一体どれほど汚染されているか、想像のつかないほどの汚染であるはずだから。
メルトダウンを超えている原子炉の底から、物凄いレベルで汚染された冷却水が染み出して、どんどん土地の下に浸透していると言うだけでも、もう考えられないレベルなのに。



現在の世界のどの医者をもってしても、放射線と鼻血などの関連性を論理的、科学的に裏付ける医学的知見など存在しない。

医者がわからないから危険とはいえない・・・・などという屁理屈が、平然とまかり通るなんて、一体どうなっているのだこの世界は。


 




そもそもマンガの内容について講義するなど、うるさい。そして片腹痛い。

読む人のための作品じゃねえだろう?

作品は作者のものだろうが。

普段この作品を読んでいる読者は多分文句なんか言ってないんじゃねえか?

愛読者でもない洗脳プロパガンダ野郎が、気にいらねえからって、なんでも文句ばかり言ってんじゃねえと思う。




色んな見方が世界にはあり、まだわかっていないことばかりの世の中で、原子力なんか特に、じつは人類はまったくと言っていいほど掌握できていないのだから、様々な可能性について憂慮する必要があるのだ。



風評風評と、懸念される問題に蓋をしようとする言論も行き過ぎてはいけないし、国民はそれぞれ、自己能力による判断が求められる。

マスコミは信用できない。

政府も信用してはいけない。

マンガの内容だけを信じ込むことも危険である。

だが、様々な可能性を憂慮する必要がある、そんなとんでもない事故が、福島第一原発で起きたのだ。



我々はこの事故をどうやって総括するのか。