わしゅう
つい先日、富田を信じると書いておいて、すでにその気持ちがグラグラしてしまう自分に嫌気を感じつつ。
ある情報筋から聞いたところでは、彼は【クロ】だろう〜〜なんて話を聞いたりして。。。。。
本当に嫌な話なのでもう触れるのやめる。
話は変わるがしかし寒くなった。
そろそろあの、【冬の匂い】がふわ〜っとする時期が訪れたのだろうか。
寒い季節になると、私が思い出す光景がある。
46歳になっても忘れられない冬の光景は、私が高校一年の頃の早朝4時半にある。
私の現役時代の早朝は、毎日早朝練習に向かう、まだ日の出ていない真っ暗な道のりを歩く毎日だった。
朝の4時半に、あたり真っ暗な道を、高校生の集団が10人くらいで、スポーツロングコートや、丈の長めのドカジャン着た男たちが、ただひたすら体をかがめて歩く姿は、間違いなく異様だったと思うが、早朝4時半の住宅街は、人っ子一人いない。
冷たい冬の風が、ビュ〜〜っと吹いていて、寒くて寒くて体をさらにかがめる。
つい2〜3分前に起きたまま、着の身着のままで上着だけ来て、前日の夜の練習で使った濡れた水着と、まだ乾いていないバスタオルでくるんでプールへ向かう。
10人の若者は、その道のりを黙って歩く。
毎日歩いている道だから、起きたばかりでまだほぼ眠っていても、慣れたもので転ぶこともない。
5〜6メートルある道幅を、10人が横に広がり歩く。
歩く速さが違うから、何列かに重なるその道のりで、だいたいいつも先に歩いている歩くのが早い先輩がいた。
【池田和周さん】
いけだかずちかと読むのだが、名前はどう見ても【わしゅう】としか読めないので、後輩からは【わしゅうさん】と呼ばれ、先輩や同期からも、【わしゅう】と呼ばれている。
早朝の暗い道のりで、わしゅうさんはサッサと早めに歩く。
練習に早く向かうためでも、プールに早く着いて練習頑張るためでもない。
寒い道をゆっくり歩きたくない。ただそれだけだ。
先頭で歩くわしゅうさんは、ものすごく【屁】が臭いのに。
暗い道を歩く10人の先頭で、突然、耳に不快な、聞きたくもない大きな音がする。
【ぶほぉ〜〜っ!!】
すると後続を歩いていた9人が、ど真ん中を歩いていたわしゅうさんの後ろから、【ササ〜ッ】っと端に避ける。
真後ろを避けるため。
しかし厚着しているわしゅうさんの、物凄く臭っいオナラは、着込んだ服の、裾から少しづつ、ほんのりと漂いながら、後続の者たちへ覆いかぶさってくる。
【硫黄】(イオウ)と、【卵を腐らせて10年寝かせた匂い】と、【便秘のお爺さんが半年ぶりにしたウンコ】を、3つ足してπアールの二乗掛けて、2で割ったみたいな、考っがえられないような、この世のものとは思えない【刺激臭】が、ジワジワジワジワと、後ろに流れてくる。
後続の9人は、道路の端に避けながらも、必死に上着を使って、自分の鼻と口を隠し、目の部分だけをあけて下を向く。
しかしそんなことではビクともしない。
臭すぎて気が遠のく。
つらい朝練がこれから始まるというのに、なぜその道のりで、こんなひどい目に遭わなければならないのか。
9人はそんな気持ちで究極に【イラっ】としている。
そして誰も何も言わない。
ただでさえ嫌な朝練へ向かう道のり。
そこにこの匂い。
究極に腹が立ちながらも、無駄に声も出したくない全員。
ただひたすら必死に呼吸を止めて歩く。
10mくらい歩き、そろそろ匂いも消えたろうと、恐る恐る息を吸う。
トンデモない。
むしろ刺激臭は今、まさにピークを迎えている。
吐き気を催し、息を止めるべきなのに、逆に苦しくなって口から吸ってしまう。
その瞬間、なにか世界で一番汚いものを口に入れてしまったような憎悪に包まれる。
そしてまた、わしゅうさんの【屁】に、究極、イラつくのだった。
プールについてロッカーに入るが、わしゅうからはまだ、あの【屁】の匂いがする。
ロッカーじゅうが一瞬にしてわしゅうっ屁の匂いに包まれ覆われる。
(わしゅう。お願いだ。勘弁してくれ。。。。。)
先輩もそんな顔をしている。
しかし誰も何も言わない。言葉を発する気分ではない。
笑うことも怒る気力も沸かない。
それほど朝練習が全員、【嫌】なのだ。
まだ若い高校生の集団が、眉間に縦ジワ寄せて、この匂いのせいで、まるで人生に疲れきったかのように同じことを思う。
(一体わしゅう、何を食ってんだ)
(あそうか。同じもの食ってんだな)
(なのになんだこりゃあ)
(腸、腐ってんじゃないか)
そして9人は水着になる。
朝練が始まり、水の中に入ってやっと、あの忌々しい匂いから開放されたかと思いきや、わしゅうは25mプールの向こう側の、ターンの時にお尻を水面から出して、あの【屁】をかます。
25mで6コースあって、天井が10mくらいある室内プール。
その室内空間が突然!
も一回言うが、
【硫黄】(イオウ)と、
【卵を腐らせて10年寝かせた匂い】と、
【便秘のお爺さんが半年ぶりにしたウンコ】を、
3つ足して、
πアールの二乗掛けて、
2で割ったみたいな、
考っがえられないような、この世のものとは思えない【刺激臭】に包まれる。
水中練習はある意味、究極の有酸素トレーニングである。
ものすごい勢いで全員が、わしゅうの【屁】を【生】で、肺や胃に取り込みながら、汚染されて減っているわずかな酸素を取り込んで、血中に送る。
わしゅうの発した不純物の混ざった酸素を、私たちは体内に取り込んで練習していた。
おかげで、綺麗な空気の試合会場は、私にとっては呼吸しやすい幸せな場所だった。
きっとだから勝てたのだろう。
私たちのチームはきっと、どんな高地合宿よりも過酷な環境で練習していたのかもしれない。
ありがとうわしゅうさん。
あなたのあの、
【硫黄】(イオウ)と、【卵を腐らせて10年寝かせた匂い】と、【便秘のお爺さんが半年ぶりにしたウンコ】を、3つ足してπアールの二乗掛けて、2で割ったみたいな、考っがえられないような、この世のものとは思えない【刺激臭】
のおかげで、私の肺活量と最大酸素摂取量は鍛えられたのかもしれません。