正義の人

10年ほど前だっただろうか。

イラクかなんかで4人のNPO日本法人が武装集団に拘束されたことがあった。

それで世界で一番信用できない、政治家という詐欺職の者が、【自己責任論】を唱えた。

危険な地域と承知で、大人が自分の判断で現地に向かったのだから、日本が国として彼らを救う必要性を感じないかのようなコメントをし、平和ボケの日本人は真っ先に共感したものだった。

私だって、日本でこれだけ多くの職や仕事があって、国内にだって、もっともっと多くの問題があるのに、わざわざ紛争危険地帯に向かい、現地の戦闘に巻き込まれている民間人を救いたいだなんて、綺麗ごと並べてる純粋君が、自分探しの旅しているだけじゃれねえかと、そんな風に感じたこともあった。


しかしよく考えてみると、拘束された湯川氏のことは知らないが、ジャーナリストの後藤氏は、私は少なくとも、日本政府は必死こいて彼を救うべきだと思うのだ。

日本という国は、大東亜戦争に負けて、東京裁判で復讐されて、ウオーギルトインフォメーションプログラムで骨抜きにされて以来、紛争に巻き込まれることをもっとも嫌い、原爆落としたアメリカの傘の下に隠れて、金だけ稼いで、札束で世界の国々に媚売って、自国の努力で世界の紛争を解決に導くための直接的な貢献を、ひたすら避けてきた。

ジャーナリズムまで、たとえば他国のジャーナリストの記事を引用したり、他国の紛争地帯カメラマンの写真を買って新聞掲載したり、そんなわけには行くまい。



危険を承知で紛争地帯にカメラとノートと鉛筆持って、爆薬から身を隠しながら、銃弾をよけて、世界で何が起こっているか、真実の世界を、日本の国民に知らせなければという使命感を持った【本物の人間】がいなければ、本当にこの国は最低の国家となってしまっているはずだ。



しかも後藤氏は、危険地域に向かう自分の責任を認識し、日本人に、シリアの人々を恨んだりしないでくれとビデオに残し、過去の経験から十分に危険な行為であると認識している上で、現地に乗り込んだ正義の人でもある。



そりゃあ、ほとんどの日本人はそんな危険なことする必要はないさ。

俺みたいに妻子供持って、サラリーマンやって、働こうが働かなかろうが、一定のそこそこの給料もらって、日曜日にはレストランで食事しているのうのうとした生活をする、そんな日本人がほとんどだろうさ。

それが悪いとは思わんよ。



けど、現代の日本人がこんな生活が出来るのは、大東亜戦争で、空や海や南国のジャングルで、『おかあさ〜〜ん。。。。。』と力なく叫んで死んでいった、日本の若い兵士たちの屍の上にあって、その死んでいった英霊たちがいたから、彼らが未来の日本の国を憂いて死んでいったから、今、現代の日本人がこうして胡坐かいて生きていられる。



現代の日本人も、別の意味で官僚政治にやられて、利益至上主義の経済優先主義に巻き込まれて大変な人生いきているんだが。
昔は零戦に乗って、敵艦に突っ込んで死んで来いって言われて、そうやって日本人は官僚たちに殺されたわけだが、
現代は、死なないで生き殺し状態で、金をずっと徴収されるっていう生殺し状態なんだが。




話を元に戻すと、誰かがその類まれなる使命感によって、世界の現実をこの国に伝える仕事をしてくれているおかげで、我々は世界で起きている事を知りえるわけだし、それを知るからこそ、PKOだったり、ODAだったり、支援関連だったりに税を使うことを受け入れることが出来るわけだ。

政治家だって、多くの世界的な視野にたった判断をするには、外務省や大使館情報だけでは、そこに真理は見つけられない事だって多くあるはずだ。




ネットや何かで、平然と声高らかに、【自己責任】と騒ぎ立てる人は、本当に顔をつき合わせて対策議論する際にも、
「危険とわかって行ったんだから、身代金自分で払うか、払えなかったら自己責任なんだから殺されても仕方がないよね〜」
なんて、しっかり平然と発言できるのだろうか。
ツイッターやなんかのネット言論は、妙にテンションあげて、頭の中だけで物事の現実が見えた気になっている、まさに中途半端な書き込みが多い。時代背景もあるから悪いとも言い切れんが、真に受けないほうがいい。


人前で仮に、自己責任論ぶつことが出来たとしてもきっと、周りで聞いている人間たちは、その中途半端な自己責任論を説く発言者に、近づかなくなるだろう。怖さを感じ始めるはずだ。誰も腹を割って口を聞かなくなりゃしないか。




私は、政府はなんとかこの法外な身代金を交渉して引き下げする努力をして、金を払ってでも、後藤氏を救うべきであると考える。



そもそも憲法解釈で、他国の武装集団から日本国民が襲われたり拘束されたりしたら、自衛隊が助けに行くなんていう解釈を進めている安倍総理が、自衛隊を即刻国防軍とか日本軍にして、特殊部隊を送り込んでやろうと、そう思わないのが意外だ。



解釈問題が進む中で、それでもなお自衛隊の職を選び、自国を守る職についている勇気ある同胞日本人に、紛争地に向かって拘束されている日本人を救出して来いなどと、私は言えない。
言う立場にないし、その立場になる勇気も能力もない。

だが、一国の総理はその決断の権利と義務を負っている。




イスラム国なる集団が出来たのは、アングロサクソンの自国国益の倫理によってアラブに多くの被害者が生まれたことに起因する。その繰り返しによってアメリカの言うなりにならない世界の指導者が生まれ、その指導者の独裁性がまた、貧しい人々の悲しみを生み出す。

もっと言えば、殺し合いこそ、ユダヤマネーの計画通り、金によってしか動かない、世界の成れの果て、ユダヤマネーは、世界の人々が殺しあうことを楽しんで見ているだけなのだから。





後藤氏は危険を認識していなかった訳ではない。
どうかこの内戦が早く終わってほしいと願い、何が起こっても、責任は私自身にありますと言って出かけた。


結果、人質として拘束され、日本政府に2億ドルという法外な身代金が要求されることとなったが、危険地帯を承知で出かけていることに、いわゆる【自己責任論】がまた流行り出した。



進歩しないやつが多い。

考えないやつも多い。




一方、わざわざこの時期に、あの地域に入ったのだから、もう覚悟ができていたのだろうと、やっぱり自己責任という人もいる。


責任が彼らにあったとしてもそれでいいけど、政府は税金たんと払っていいから、勇気ある日本のジャーナリストを救ってほしい。



政府の要請でシリアに行ったのではない、などと冷たく突き放す政治かもいるが、そいつに言いたい。後藤氏も、シリアの戦時被害者も、ついでに俺も、おまえなんかに政治家やってくれなんて、そんな要請なんかしてねえからと。絶対しない。こういう調子こいた馬鹿には。



私は身代金を払うことが、テロに屈したことになるともそれほど思えん。
日本の大人一人当たり2万円で、200億になるなら、特別税出したいって思うくらい。
ひどいバッシング受けそうだけど。



政府関係者が率先して【自己責任論】を唱える日本は、私は狂気の国でしかないと思う。そもそも政治家なんか、身勝手なことばかり言ってる税金食い虫でしかない。そんな馬鹿野郎に、ジャーナリストの命を天秤にかけるようなマネをさせるわけにはいかない。


政府は後藤氏を救うべきだ。


後藤氏の家族は心中どんな気持ちかと思うと、胸が張り裂けるような気持ちになる。




帰ってきてほしい。

日本の勇気あるジャーナリスト。

正義の人。