病は気からじゃない

「病は気から」
この言葉が嫌い。
気合で我が家の居間に飛び交うインフルエンザウイルスを撥ね退けることなんてできない。ウイルスなんだから。放射線だって、気力や気合で、浮遊している放射線を撥ね退けるなんてできない。ウイルスだっていくら気力があっても自然に体に入ってきちゃうじゃない。感染したら発症しやすい体質だってあるし、熱が出やすい体質だってある。
私は子供の頃からしょっちゅう風邪をひいてきた。母も、そういう体質らしいが、私は0歳の時に、たぶん今で言う「インフルエンザ」のような風邪に罹り、同時に肺炎になって、医者も諦めたほどの経験がある。両親が私を毛布に包んで、出来たばかりの新幹線に乗って、東大病院に行って、結果的に半年入院して、最新の抗生物質漬けになって、ぎりぎり生き延びた経験がある。
気合や気力で遺伝的要素を封じ込めるなんて不可能です。日本の文化や会社などの組織では、「病は気から」という言葉が潜在的に実に都合よく利用されていて、都合のいいときだけ立場を利用してこの言葉が運用されている。風邪ひくなんて気力がないからだって、よく昔から言われたけど、小生、昔から本当に風邪に弱い。世間で風邪がはやるとほぼ間違いなく感染する。先日は巷で「ノロウイルス」がはやり、子供達も次々に感染したが、私はとにかく早く寝て、早起きして、手を洗ってうがいして、食事をよく噛んで、すっごい気をつけていたのに、最後に一番重い症状で感染。毎年毎年冬になると、インフルエンザが流行るからって、家では、手洗いから何から凄い気をつけているのに、ほぼ毎年感染してしまう。ちなみに予防接種も毎年受けていても、全然ビクともしません。予防接種していてもインフルエンザには感染して発症するのは、もうずっと昔から知っていた。自分が経験していたから。
たとえばしょっちゅう飲み歩いて、夜更かしして、暴飲暴食していて風邪ひきましたっていうなら、そらあかんわ。体力的に発症を抑制できない状況を自分で作ってるんだから。
風邪とかインフルエンザとか、ウイルス性の感染ばかりが、「病は気から」のターゲットになる。他の病気で苦しんでいる人だって沢山いるじゃないか。その方々に、病は気からなんて言えますか?「気」が感染や発症のもとじゃないです。
「おまえんち、いっつも風邪ひいてんな〜」と、いっつも言われる私。たしかにこの1ヶ月近く、家で誰かが発症している。だって本当にちょうど良く順番なんですもの。たとえば昔、上司が同じ事務所にいた時、「今日は子供の誕生日なんで帰ります」と言うと、「おまえんちしょっちゅう誕生日ばっかじゃねえか〜、何人いるんだ〜」と、定時を3時間過ぎても嫌味を言われたもんだ。(すべてサービス残業なのに(笑))
そりゃそうだわな。7人いると、年間7回誕生会やってるんだもん。1.5ヶ月に1回。そうすると普通だといつも誕生会やってるくらいの印象になるらしい。
体が弱いと気力がないと言い、家族が多いと仕事に対しての意識が薄いと言われ、病気家族なんていう上司もいたが、結果的に言うと、そう言っていた人たちも結果的には、みんな色々発病してました。帯状発疹とか、痛風とか、ピロリとか、肝炎とか。ね、言ったでしょう?気力じゃないんです。病気は。
ゆるやかに受け止める事が大切なんじゃないかな。本人も世間も。本人が一番辛いのだし、家族も本人に負けないくらい心配しているのだから、周りの人は勝手な事言わないようにしましょうよ。「病は気から」なんて、よーく考えたら、すっごいひどい発言だと思いませんか?無責任で、冒涜的で。看病してくれるわけじゃないし、治してくれるわけでもない人が、そういうこと言わないようにしましょうよ。

ま、私今、インフルエンザですけど。順調に治りつつありますけど。少し無理すれば会社行けますけど。たぶんうつりますけど。