長男の水泳

土曜日、長男の強太郎が、市が開催する水泳連盟公認の中学校(中体連?)に出場した。
前日にボブから、スピードのレース用水着を調達してもらい、ナショナルチームと同じ水着を準備。100mの平泳ぎに出場し、400mフリーリレーにも出場するという。長男は、スイミングクラブにも通っていないから、平泳ぎなら100mはオーケーだが、フリーで100mを泳ぎ切れるか??というくらいのレベル。中学3年で、1500mの中学新記録を出した私から考えれば、世界がまったく違うが、私はあの苦しみを子どもに与える勇気がなかったから、長男の好きにさせてきた。でもこうやって、水泳大会に出るっていうだけで、私には親孝行な息子だと思える。
しかしびっくりしたのは、中学の市の大会であるにも拘らず、あまりにも大会がずさんな事だった。誰にも言わなかったが、長男の通う学校の小さな狭いプールで行われる水泳大会で、選手達の控え場所すらない。みんなが小雨の降る寒いプールサイドで震えながら出番待ちをする。サンダルすら履いていない。全員、水着とTシャツ一枚で、小雨で濡れたまま、立って待っている。雨がふっているから体も濡れたままだ。テントもないし、椅子もない。数人の役員?だか先生が、正面テントで椅子に座る。


今私の子ども達が通う地域は、勉強は熱心だが、運動はめっきしダメだそうだ。やっぱりこうして大会を見ると、先生の意識が低すぎる事がわかる。子どもを甘やかせるつもりはない。しかし、運動に打ち込む先生の姿勢がまったく感じられない。応援に来ていた父兄は、私を含め、プールの外で、一段低い土壌の上に立ち、子ども達のレースを応援する。中体連の大会なのだから、小さくてももう少しまともな会場を借りるとかしたほうがいい。

長男の100m平泳ぎ。

タイムは1分36秒だ。短水路。飛び込んで、ひとかき、ひとけりすら知らない長男に、私はもとコーチとして反省した。もう少し教えておけばよかった。ターンでも、ひとかきひとけりをしないで、壁を蹴ったら、ぷかっと浮かんでくる。でも本人は一生懸命だ。ほとんど練習した事がなく、プールで泳いだのも、つい先日学校のプールが始まってからだから、まだ2週間程度という事から考えれば、完全な素人の100m平泳ぎが1分36秒というのは早いと思う。同じ組で、スイミングに通う生徒がいたが、5mほど離されただけで、最後まで必死に喰らい付いていた。
泳ぎを見ながら思ったのは、素人のわりに、キックが異常にうまい。プルとのタイミングが合わず、ストリームラインがほぼ存在しない泳ぎなので、推進力は殺されているが、その辺を教えると、多分ガクンと早くなるだろう。あとはスタートとターンを教えれば、1:10くらいでは泳げるんじゃないだろうか。休みの日に少し泳ぎを見てあげよう。
でもちょっと面白かったのは、スタート台がコンクリートで、ツルツルすべる材質なのに、彼はクラウチングスタートをしていたことだ。これには思わずにやけた。きっと最近2回連続で見に行った、日本選手権で、全員といえるほどクラウチングスタートだったのを見たからだろう。しかし、すべる材質に案の定、後ろ足が滑って、腹からビタン!!という音を立てて飛び込んでいた。

長男はまだこの頃とたいして変らないんだなあと思った。スイミングに通ったのは小学校4年生と5年生の2年だけだった。まだバタフライの25mに合格していなかった・・・。
長男は感受性の豊かな子どもだ。本当は野球部に行きたかったのかもしれない。しかし、私と観に行った日本選手権で、きっと私が本当は息子に水泳をやって欲しいと思っているのだと、そう感じたのかもしれない。萩原智子さんと写真を撮らせてもらったり、中尾美樹さんとお話してプレゼントまで頂いたり、ボブや伸太郎などの昔の名選手と会ったりしたことで、水泳部に入ろう。そのほうがいい・・。と、彼はそう思ったのだと思う。

でも次の日の日曜日、友達と遊んで来るといって出かけた長男。中学1年になれば日曜でも、友達と遊ぶ方が楽しいんだろうなと思って、普段お小遣いもあげていない彼に、1000円札一枚渡して、「無駄使いすんなよ〜!」とだけ言って行かせた。
その後少しして、妻と下の子3人と、イオンに買い物に行くことにしたのだが、バスキンロビンのアイスクリーム食べにフードコートに行った時の事。なんか見たことのある、真っ赤なスピードのジャージを着た、色白の美青年がいるなあと思ってよく見たらうちの長男。テーブルに陣取って、椅子に深く腰を下ろし生意気そうなカッコしている。よく見ると、男の子2人と女の子2人ではないか。思わず爆笑!ダブルデートしてやがる!妻がすかさず、「写真撮って!!」と爆笑しながら言うので、気付かないように激写!。

長男に渡しておいた妻の携帯に、すかさず送信!すぐに着信を確認した長男が画像を開いたのが見える。はっとしてキョロキョロする長男。それを隠れて見ていた妻は、笑いすぎて、
「だめっ!おかしすぎるっ!あ!おしっこちびっちゃった!!」
だって。