5人兄弟

子供というのはよくできたもので、5人いたら5人とも全然性格も人格も違う。
長女はマイペースでだらしがない。あまり要領のいいほうではないが、結構相手を自分のペースに持ち込むようなところがある。現在高校1年だが、今が反抗期のピーク。妻への暴言は日常茶飯事。妻もヒステリックにやり返す。ガ体が大人な女性が、家の中で大声で喧嘩していると、こっちまでイライラしてくる。
とはいえ、細かい子供の面倒を、5人見ている妻。私のイライラの比ではないだろう。どんなに疲れていてもぐっと我慢。
不思議なのは、妻と長女の間には、喧嘩の後をひくものがまったくないことだ。親子だから、女同士だからなのか、大喧嘩したり、からかったり、親子というより歳の離れた姉妹とでも言おうか。
長女は基本的に家では無口なことが多い。
しかし何かの折に触れ、急激に妻と話しが盛り上がる事もある。
また、長女は長男と話題が合うこともあり、2人でよく分からん話をして笑っている事もある。



長男は優しい子だ。
下に3人の妹がいるからか、また、末っ子がまだ4歳だからか、小さい子を見ると、よく可愛がる。すぐ下の次女とは、歳が2歳しか離れていない為、次女が長男を尊重しないことから仲が悪い。よく喧嘩をしている。
「は?意味わかんない・は?」
という掛け合いは、長男の次女の喧嘩の定番。
しかし長男の優しさは一目置ける。たとえば、朝たまたま学校へ長男を送ると、車を降りた後、見えなくなるまで何度も振り返り、親に向かって手を振る。
塾へ送っていっても、塾の玄関から見えなくなるまで、ちょこちょこと何度も振り返り、親に手を振る。
朝、家の前で学校へ出かける時も、見送る妻に何度も振り返り、曲がり角で見えなくなるまで5〜6回振り返り、何度も手を振る。親だから分かる事なのかもしれないが、あれは長男のやさしさから来るしぐさだと言える。
水泳の日本選手権を私と観戦に行き、野球部に入る予定だった部活を、突然水泳部に入ると変更したのは、長男の私に対する優しさなのだ。子供の頃の私がそうであったように、今の長男は、自分が水泳をやることで、私が喜んでくれるならと、その気持ちが水泳部にし、スイミングに通い始めた理由のひとつであると、そう思うことがある。そういうやさしい子なのだ。きっと大人になってから、
「俺は自分のために水泳をやったんじゃない!」
とか言わないだろうかと心配。
長男が水泳を選んだことに対して、苦しいけど楽しんでがんばっているのだと、信じたい。



次女は5人の中で、ちょうど真ん中の3番目である。現在は頭脳で言ったら5人の中では一番賢いと思う。
おせっかいに感じる時があるほどよく気づく子で、妻の手伝いも一番よくやる。食事の支度などは、妻と一緒にやりたくてしょうがないようだ。忙しい毎日の中で、妻もゆっくり次女と一緒にクッキングする時間がとれないのだが、週末などは、鍋料理など、5年生の次女がひとりで全部作ってしまうほど。将来はパティシエになりたいらしい。
先日、長男のスイミングの大会が1日中あり、下の子2人を置いて、長男の応援に夫婦で出かけられたのも、この次女のおかげである。
本当によく働き気づき、段取りが完璧だ。もしかして物事を多面的に要領よくこなす能力は、すでに妻を越えているかもしれない。
先日の長男の大会の日は、朝早くから両親が居ない中で、下の子2人に朝食を食べさせ、日中は一緒に遊んだり面倒を見て、お昼にラーメンを食べさせて、夜はカレーを食べさせて、お風呂に入れてあげて、、シャンプーリンスして、ドライヤーで髪を乾かしてあげて、布団を敷いて寝かせていた。
私の酒のつまみを運んだり、遅い食事の時は、言われなくても配膳し、妻は長女には一切手伝いを指示しないが、次女には当然のように食事関係の仕事を頼む。彼女が分かっているから安心なのだ。



三女はちょっとオツムの足りないかわいい娘。
何をしていても、ちょっと面白くなっちゃって笑っちゃう。兄弟喧嘩している最中でも、ちょっと壺にはまるとクチュクチュっと笑う。
末っ子が可愛くてしょうがないみたいで4歳の妹にキスをして、抱きしめる。しかし、嫌がられると怒り出し、喧嘩になる。おもしろい関係だ。彼女は長男とウマが合う。長男と喧嘩していても、長男がちょっと笑わせてごまかそうとすると、それにすぐに引っかかって大笑い。キャッキャいいながら笑っちゃう。妻に怒られて、涙を流していても、私はそおっと後ろから笑わせると、「ぶっ!」と噴出して大笑い。勉強は大の苦手。大嫌い。学校から2時半に帰ってきているのに、夜の8時に、まだ宿題が終わっていない。妻や次女などの上の兄弟から、早く宿題をやっちゃえと、言われ続けながらも、結局約6時間、何もしない。ウダウダウダウダしながら最後は会社から帰ってくる私にド叱られて、ベソかきながらノロノロ始めるのだ。
しかし彼女の自慢は、「綺麗な字」である。
字の美しさに関しては、兄弟の中で、トップだ。学校でも習字の入選などの経験がある。




末っ子は結局、上の子4人から可愛がられ、私たち親も、もう5人目ともなるとまるで孫みたいな感じに思えてきてしまい、まあいいか・・・・とあまり怒らないこともあって、とっても甘えん坊。
しかしその代わり、私の事も妻の事も、上の4人の事もみんな大好き。今だけのことだろうが、特に私になついている。甘えん坊だがそれほどわがままではない。ちょっとすねたりするが、それは4歳児の許容範囲。
問題は食いしん坊過ぎること。私が遅い夕食を摂っていると、必ず横に来て、ものほしそ〜に私を見つめる。
最初のうちは気分よくおすそ分けするが、そのうちだんだんめんどくさくなる。それにすでに食事を済ませている末っ子。完全に食べすぎだし。太っているわけではないが、お腹が少しプックリ気味。
次女に匹敵か、もしかしたら次女より賢い素質あり。4歳なのに九九を覚えちゃったり。3女の九九の練習を聞いていて、歌を覚えるみたいに覚えちゃったらしい。



賢い次女と賢い末っ子。

向かって左が次女。右が末っ子。共に3歳くらいの時期の写真だ。

すげえ似てる。