遅咲きの華

久しぶりに会えた友人。
私の競泳現役時代のライバルだった。
そしてお互いに現役を終了し、その後、20年以上会っていなかった。
【浅原隆文さん】

水泳というのはもともと、人間にとって不慣れな水の中の競技ということもあってか、小学生時代から、長い間のトレーニングを積み重ねているケースがほとんどであり、非常に長い年月をかけて強い選手となることが多い中、彼は、なんと高校2年生あたりから急激に強くなり、そのまま日本選手権を獲得するまでになった、遅咲きのヒーローである。



現代の選手は、コーチの精神的な基礎教育が行き届いているせいか、非常にモティベーションが高く、泳ぐことへの倦怠期が来るのが遅いし、または来ないケースが多い。
しかし昔の水泳界は、精神的な苦痛を伴う練習メニューや、躾けなどが普通の時代であり、多くの選手が水泳そのものを楽しめていなかった気がする。
また当時は、男性の競泳に関する年齢のピークが、大学2年生くらいとされており、年齢的な問題からも、選手としてのピークは、高校1年くらいから大学2年くらいまでの、約5年程度だったのではないだろうか。
もちろん、中学生から日本のトップにいた選手もいたし、中には、社会人スイマーとして、就職してからも日本のトップにいた方もいたが、時代的にはどちらかというと、社会に出てからまで、選手を続ける事そのものが、異端扱いされた時代だった。



そのような時代背景の中、大抵の選手がピークを迎える時期に、突如として現れた新星が、浅原隆文さんだったのだ。


もともとライバルという意識のあった選手は非常に少ない私。
その私が、彼をとても強い印象で記憶の中に留めていた理由は、遅い成功者であるという点だった。

倦怠期のない水泳選手。
だから私にとっては、とても怖い選手だったのだ。

当時の水泳界において、ある意味、一番貴重な人材だったのではないかと思う。
そして、こと400mに関しては、私は彼に勝てる気がしなかった。
私は現役時代、自分が努力すれば大抵の選手には勝てるという、自分勝手な自信があった。
あくまでも自分勝手な。

しかし2人だけ、400mに関しては【勝てないなあ】と思ってしまった選手がいた。
その1人が浅原さん。もう1人は、現在チームミズノの監督。



それからもうひとつ、最近になってより一層、浅原さんを思い出す事が急増した。
それは我が息子が、遅い競泳への道をスタートした事による。
大抵は小学校低学年から、長い時間をかけて泳ぎこみ、流体の中で、最効率な体の体勢やストロークを身につけていく傾向にある競技で、中学2年から本格的に始めるということになった我が息子に、可能性があるとすれば、あの浅原さんのような遅咲きの日本チャンピオンに登る道である。
いや、息子に日本チャンピオンや、オリンピックに出て欲しいと思っているわけではない。
あ、いや、思ってはいるが、それは結果論であって、その【道】が重要なのだが、それでも、勝てたら素晴らしいのはアマチュアスポーツの最大の醍醐味なのだから、あの浅原さんのように、大きくなってから、高校生になってから、あるいは、大学に入ってからでも遅くはないから・・・・。
そんな風に思って、息子を選手クラスにお願いした経緯がある。
あの時私の頭の中には、確実に【浅原隆文さん】という昔のライバルがいた。



しかし、浅原さんが勝った理由のひとつに、圧倒的な体力とパワーがあったように思う。
肺活量は8000ccを越えていた。
驚異的な体力が、それまでの努力を、短期間に実らせたのだ。
その肺活量から繰り出されるラストスパートは、驚異的な力だった。
当時の競泳選手全体の中で、ラストスパートの強さは、彼がナンバー1だったと思う。



息子も浅原さんのように、もう少し大きくなってから、『ガン』と伸びて欲しいと思うが、基礎体力やパワー、そして体質の面からも、浅原さんのような素質は見られない。
それでも、努力する選手の前に現れる可能性は常に無限大である。



きっと泳いでいてよかったと、息子はそう思ってくれると信じる。



今回もまた、競泳時代の素晴らしい先輩や後輩、友人と、再会できた。
話したことはなかったが、昔から大会の度に必ず見かける選手たち。
オリンピックに出場している優秀な選手たち。
そういう仲間に会えて、また、会わせてくれる先輩がいて、最近になってやっと、私も、『水泳をやっていて良かったのかもしれない』と、思えるようになってきた。
こんな私を呼んでくれるみなさま。感謝でいっぱいです。
ありがとう。


週末は下の子たち3人を連れて、天王寺動物園へ。
今、日本一のビルを建てている天王寺
立ち並ぶビル群の中に、どういうわけか、動物園がある。
ライオンもゾウも、キリンもサイも、トラもサルも。
なんかそういうところが大阪だなあ〜〜〜。

恒例、動物園そばの、新世界!

串揚げ食べて、お寿司食べて、『嵐』の下敷き、35枚入り〜!を、【良い事した時ご褒美】用に購入。



長女の【楓】、大ファンの【翔】君を、一発で引き当てました!

ささやかな休日のつもりでも、一日で数万円が吹っ飛んだよ。

経費かかるなあ〜〜