原子力



これから福島はどうなるのだろう。

3年前の秋、私は福島の飯舘村にいた。

福島市内で行なわれた、全国アンサンブルコンサートに、長女が出場する為、妻と二人で子供たちを実家に預け、応援に駆けつけたのだ。

市内から1時間程度車を走らせ、飯舘村の温泉宿に宿泊した。

大げさににぎやかではなかったが、静かで空気の綺麗な温泉地だった。

その1年後にあんな事故が、災厄が起きるとは。





福島第一原発の水素爆発によって、その直後から気流に乗って放射性物質が大量に吹き荒れた地域。
今でもそこに暮らす人々もいる。
私とて何が正しいのかわからない。
避難指示区域の見直しの中で、一部、すでに人が戻っている。
危険とわかっていてもふるさとを捨てられない人もいるだろう。
これからの若者であればいざ知らず、高齢者が今更、生まれ育った自分の家を離れ、どこに行けというのか。
しかし、言葉は悪いが、福島第一原発周辺はもはや、今後数百年単位で人が住めない地域となってしまっているのだ。



広島の原爆投下によってもたらされた核物質放射能の80発分の放射能が拡散してしまった福島と日本列島。
これでもチェルノブイリの1割程度というが、この政府の発表も実に怪しいものである。



チェルノブイリの事故で、人間が住めなくなってしまったエリアは、実に15万キロ㎡で、この広さは日本全土の40%近くに相当する広さであり、山地や河川を抜けば、日本の国土の人間が住むエリアの7割から8割が汚染されたことになる。
この比較からみても、福島第一原発周辺のこれからが、いかに絶望的か、わかるのだ。



私は、あの水素爆発によって吹き飛んで、気流に乗って拡散した、【最強の毒物】であるプルトニウムセシウム137、ストロンチウム90などを、政府の送れた発表と指示によって避難の遅れた国民が、吸い込んでいないことを、心から祈る。
半減期2万4000年のプルトニウムは、1000分の1になるのに24万年かかる。人類はもはや、絶滅しているかもしれないほどの遠い未来にまで、私たち日本人は、そして地球人は、この星を汚してしまったのだ。



原発の事故直後、胡散臭い政府の御用学者たちは、1時間あたりの放射線量を、レントゲン撮影や、CTスキャン、さらには、東京⇒ロサンゼルス間の航空機往復の放射線量になぞらえ、一様に【直ちに危険なレベルではない】とか、本当に愕然とする【嘘】を述べていたが、この言葉、どこの放送局でも言っていた。
一体、誰が最初に言い出したのか。
この深刻な犯罪的意見を。


1時間あたりの被曝線量の単位で物をいい、あたかもたいしたことのないように言う学者。
しかしおまえ、一日24時間、24回、レントゲン撮り続ける馬鹿いるか?
しかもこの説明は外部被曝の話。
吸い込んでしまったらまったく意味を成さない話。




最近、あの頃の原子力専門家と称する学者達が言っていたことを思い出して、なんだか無性に腹が立ってくる。




半減期8日と、比較的危険度の低い、ヨウ素131でも、放射線ベータ線は、【鉛】でなければ防げない。体内に入った場合は、半減期で8日、1000分の1になるのに80日かかるのである。
はっきり言って、80日間ベータ線浴び続ければ、間違いなく遺伝子は破壊され、次の細胞はエラーを起こす。
正確に細胞が再生されないのだ。
被曝者の苦しみは、この再生されない細胞によるのだ。
プルトニウムアルファ線が生命に及ぼす影響は、ヨウ素などのベータ線のよる遺伝子破壊と比較して、その20倍と言われている。
どうか、あの時の福島の住民や、東北地域の国民、そして、あれから10日間前後の関東地域の人々が、なるべく放射能物質を吸い込んだり、肌に付けたり、していなかったことを祈る。

これから5年後、10年後に、血液中に入り込んだ放射能物質が、血液細胞を破壊し続け、白血病などの患者が急増しないように・・・。
この私の絶望感と、この心配がすべて、思い込みと、いらぬ心配であることを、心から祈る。





世界の核実験で、地球は放射能だらけになった。
人類は癌が急増している。
この原因の少なくとも60%は、過去の核実験によるものだという説もある。
特に女性の乳がんは、この放射能の中長期的影響による、遺伝子のエラーが原因との意見もある中で、日本政府はまだ原発を稼動させた。
辛抱できたのに。



しかしあまりにも多く残っている日本の原子力発電所の施設内に残されている、劣化ウランと、精製されたプルトニウムを、これからどうすればよいのか。
どうして平気で未来に、この人類にとっての最強の毒を、多量に残そうとするのだろう。



私は辞めたい。原子力


ウランによる原子力発電をやめ、今までの原子力政策で生まれて、残されたしまった、プルトニウム劣化ウランを再度燃やして発電し、すべての放射性物質を燃やしきってから、そしてそれが終わる頃に、新たなエネルギー効率を使えるようになりたい。



全部整理しなきゃ・・・・・。