日本人の責任

日本の電気料金は世界一高額だ。

なぜ日本の電気料金が世界一高額になったかと言うと、それは原子力発電所を異常に作ってきたからである。

原子力発電がローコストだと、長い間電力会社と政府が、国民を騙し続けてきたことは昨今、国民の大多数が理解してきた事だ。

発電しているプロセスのみを限定して、発電効率を換算すれば、化石燃料よりはローコストのように思えるが、これは完全なまやかしである。

そもそも化石燃料である石油や重油よりも圧倒的に少ないウラン鉱石。
そのウラン鉱石から0.7%しか取れないウラン235。
このウラン235を集める【ウラン濃縮】という工程だけでも莫大なコストをかけている。

さらに、この濃縮の工程によって発生する劣化ウラン238は、常にウラン精製の工程で99.3%生まれる。この処理にも過去、数十兆円という、天文学的な金額をかけ、さらにすべて失敗し、どぶに捨てられ、それは結局すべて電気料金となって、国民と日本の産業を大きく圧迫してきた。
高速増殖炉もんじゅ】などの失敗によって、劣化ウランに人間が作り出した毒物である、プルトニウム核分裂に融合させ、強制的に核分裂、いわゆる臨界を起こす技術は、すでに破綻している。
要するに、濃縮ウランによる原子力発電も3.11の地震によってその危険性が暴露され、劣化ウランプルトニウム混ぜ技術も破綻している。それなのに、野田はまだ原発を再稼動させた。



石油より原料の少ないウランを、さらに精製してその0.7%のみを抽出し、危険な核反応をもてあそび、劣化ウラン99%を、0.7%の濃縮ウランの核反応によって100%生み出されるプルトニウムと反応させる。
そんな事をして、一体何になったのか。


しかも日本の原子力発電所は、はっきり申し上げて、すべて、アメリカとフランスのイギリスからの技術輸入によって建設されたものである。
日本が独自に作った【もんじゅ】などは、数千億円の建設費用をかけ、やっとの試験稼動の段階で事故を起こし、現在もまったく動いていない。
このプルサーマル計画というのは、原子力政策の中でももっとも危険な技術であり、(よもや技術とは呼べない)灯油のストーブに、ガソリンを入れて火をつけるようなもので、ストーブに火は点くとしても、大きな火災を引き起こしかねないという、このような横暴で危険な作業なのである。






電力会社は普通の会社と違う。
ご存知、独占企業であり、国民は電気を自由に購入できない。
世界一高額な電気を売る日本の電力会社は、市場競争で、電力の単価を決めているわけではない。
電力会社にだけ許されているありえない方法で、電気料金は決められているのだ。

日本の電力会社は、原発を日本中に47基作ったり、研究開発費をたんまり使ったり、プルサーマルという危険な炉心をつくって失敗して、停止状態にもかかわらず維持管理費に膨大なコストをかけたり、地震津波原子力建屋爆発させて、メルトダウンさせて、物凄いコストをかけて、今、冷やしていたり・・・・・・・。
こうしてかけているコストを、すべて、単純に電気料金に割り算して請求する仕組みになっているのだ。
【電力会社の持つ資産】、いわゆる日本中の原発の数や発電所などの資産に、一定の率をかけて、企業利潤を担保することを、公然と法律で許されているのが電力会社であり、これはいわば、原発を作れば作るほど、どんどん電力会社は儲かるという仕組みになっているのである。

だから電力会社は死ぬ物狂いで原発を作ってきた。

だから電力会社は給料が良かった。

何もしない社長業で、年収数億円を稼ぐ事が出来た。

それもこれも、かかるコストをすべて、単純に電気料金に上乗せしていただけだから、だから出来たことだったのだ。



たとえば私が、子供一人に月、10万円かかるし、子供5人で50万円、食費や水光熱費で30万円、遊興費で50万円、しめて、毎月140万円の生活費が必要だから、会社に給料を140万円請求する・・・・・みたいな話が普通に通っていたということなのだ。



電力会社にとって、本当は原子力による料金低下などどうでも良かった事だったのだ。

エコだの、クリーンエネルギーだのいうトリックも、原子力村の薄汚さである。

二酸化炭素を出さないエコな電力が原子力と言うのは、これこそもってのほか、嘘800とはこういうことを言うのだろう。
原子力ほどの大掛かりな施設で毎月発生される二酸化炭素ももちろんだが、ウランの精製や濃縮、燃料ペレットの製作、ウラン鉱石の発掘、劣化ウランの保管、移送、これだけでも物凄い二酸化炭素の排出を生んでいる。というよりそもそも、ウラン精製作業、燃料ペレットの作成などによる、二酸化炭素以外の毒性物質の、空気中散布の方が、はるかに有害なのだが。


原子力発電所が海のそばにあるのは、ご存知、冷却の為である。

水蒸気を淡水で冷却し、その淡水を、海水で冷却する。
原子炉で核燃料を淡水で冷却し、その淡水を海水で冷却する。

その為に、海のそばに原発を作る。

海水は冷えた状態で海からくみ上げられ、原子炉内を循環し、沸騰している淡水を急速に冷やし、だいたい7度から10度程度、温度が上がった状態でまた、海に戻される。


7度から10度。


普段、お風呂には入る温度は45度くらいだろうか。


このお風呂の温度が、普段より10度上がったら、皆さんは風呂に入っていられますか?
熱湯風呂よろしく、火傷するでしょう。
そもそもそんな高温の風呂にずっと入って、生きてはいけません。
そう。
海の生物はことごとく死滅します。


エコとか、クリーンとか、嘘ばっかり。



原子力発電は、一度稼動を始めると、核分裂による臨界によって、だいたい1年くらいは動かしっぱなしになる。
というより、止められない。
冷却して、エネルギーを落す事が、できる範囲の最大であり、核反応自体を止める事は出来ない。
だから夜間、人が電気を使わない時間帯は、発電された電力を、貯水路の水を、上に運んだり、下に下げたり、などという汲み取り作業を繰り返させ、原子力の電力を、使用し、消費しているのだ。


火力発電のように、短いサイクルで稼動調整できないのが原子力なのである。




すでに通常の原子力も、核燃料サイクルも、すべて破綻している技術なのだ。

高速増殖炉もんじゅは、福島のような事故が起きたら、完全に最後となる施設であることも付け加えておこう。
なぜなら、冷却するのに使う材料が、【水】ではなく、【ナトリウム】だから。
このナトリウムという物質は、水に触れると爆発し、空気に触れると火災を起こすという、実に厄介な代物である。

だから、震災の時のようなブラックアウトが起きると、今度は放水作業や、海水注入といった作業は出来ない。

今度ばかりは人類は、指をくわえて見ているしかない。
と言うより、ただただ、逃げるしかないことになるだろう。





青森県六ヶ所村には、核燃料再処理工場という、名前だけの施設があり、試運転中と言いつつも、使用済み核燃料から、ウランとプルトニウムを取り出すなどという、恐ろしい離れ業を、そう簡単に人類が出来るはずもなく、すでに原発100年分の使用済み核燃料が、運び込まれ、保管されている。

こんなところにテポドン落されたりしたら、広島や長崎の原子力爆弾によって拡散した放射能の1万倍以上の放射能物質が、日本中、いや、世界中に飛散する事になるんだから。





日本の電気料金が高すぎるおかげで、日本企業の国内産業は、どんどん海外に移っていった。
もちろん人件費の問題もあるが、しかし今では、日本の人件費は、世界の先進国と比較しても、特別高額ではないのではないだろうか。
高額な電気料金のせいで、日本のアルミ精製工場は、ほとんど海外に出て行ってしまったし、電気を良く使う企業は、もう日本で、物作りはしなくなった。
すべて電力会社の悪の恩恵である。





それから最後に一言。


日本の電気は、すべての原発が停止しても、完璧に供給できる事を忘れてはならない。
すでに今年、すべての原発を停止させた状態で、ひと夏を過ごしたことを忘れてはならない。
火力発電の石油がなくなるからとか、コストが高いとか、全部嘘。ウランの方が石油より埋蔵量は少ないし、原発に関わるすべてのコストの方が、火力よりも2倍以上、高い。

石油が枯渇するから原子力を!と言ったり、
エコでクリーンだから原子力をと言ったり、
電力が足りないから原子力と言ったり、

これらの電力会社の説明は、すべてが嘘である。
すべては日本人の金への執着と、金の亡者となり、【命より金】となった日本の人間達の愚かさが招いたことである。

そして、私のように、これまで原子力を勉強せずに、電力がどのようにこの国に供給されてきたのかも知らずに、当たり前に電気を使い、電力を謳歌し、無関心で済ませ、電力会社の実態すら知らないでいた私の・・・・・、そう、すべて日本人、私たちの責任なのだ。


悔しいのは私だけだろうか・・・・・。