日曜日。息子が水泳の試合だった。
1年3ヶ月ほど前から、本格的にスイミングに通い、選手クラスにねじ込んでもらって、毎日毎日練習に明け暮れてきた息子。
最初のうちは、泳ぐたびにベスト更新で本人もご満悦。
もともとタイムが遅いのだから、そりゃあベスト更新しやすいのは当たり前なのだが、それでも完全なド素人だった状態から、いきなり毎日毎日の練習生活になっても弱音を吐かずにがんばる姿に、私も感銘してきた。
しかし、今年の夏の後半の試合から、突然タイムが伸びなくなり、このところ、ベスト更新できないレースが連発。
悔し泣きする息子を見て、妻はかなり心を痛めていた。
私も元競泳選手として、あるいはコーチ経験者として、彼が伸びない理由は十分理解しており、プールサイドに立てれば、ストロークを矯正し、飛込みを教え、ターンも矯正できるのだが、ガラス越しの観覧席からしか見られない立場では限界がある。
自宅で教えても、なかなか水中のように指導できるわけではないから、そのうち、どこかのプールを借りて、指導してあげようかと考えていた。
息子は私の現役時代の成績を知っており、そのことが彼にとってプレッシャーとなって欲しくないので、あまり指導もしないようにしてきた。
だが限界がある。
ストロークと、飛び込みのイメージについて話をした。
少し話しただけで、何かがガラッと変って、早く泳げるようになるというような夢みたいな話は存在しないが、少しストロークに伸びが見えてきたなあと感じはじめていた。
そして迎えた日曜日。
すべての種目にベスト更新し、なおリレーにおいては引継ぎ参考タイムながら、さらに2秒縮めることが出来た。
得意満悦な息子に妻は一安心。
日本新記録まであと16秒。(爆)
たった16秒じゃないか強太郎!
夢は大きく。
練習は厳しく。
水泳は楽しく!!
息子が通うJSS富雄は、選手クラスの父兄の方々も、親切で気さくないい人ばかり。
転勤してきたよそ者だった私たちをやさしく受け入れてくれ、選手達もやさしく明るい、素晴らしい子供たちばかり。息子を暖かく受け入れてきてくれた。
1年3ヶ月間、安心して通わせられた。感謝だ。
日本一になったり、オリンピックに出場したり、そんな風になれなくても、一生懸命がんばれる世界を、学校や家庭以外にももうひとつ持てるだけで、息子にとっては素晴らしい生き方となるのだ。
そして最高の思い出を積み重ねてほしい。
最高の思い出となるためには、最高の努力をしたと思える毎日を、送れるように私たちが、背中をそっと支えてあげることなのだ。
コーチと親の役目は、選手を早くすることももちろんかもしれないが、それより何より、選手に、子供たちに、最高の思い出を与えてあげる、その為に努力することなのだ。