武器と金の循環
遠い国の同じ空の下で綺麗に首を切られて美しく散ったジャーナリスト。
私はもう【われ関せず】という立場を貫くことは出来ない。
世界がこんなものだってことはわかってたつもりだったが、殺害された日本人ジャーナリストは、その命を賭して、われわれ日本人に使えたかったことを伝え、課題を投げかけてくれたのだ。
テロは増殖し拡散し、イスラム原理主義の理念を利用して、きっとそのうち富と権力をむさぼる人間が出現し、そして内部闘争し、独裁者が誕生する。
そうやってまた世界は回る。
そうやってまた世界は殺しあう。
奇跡の国である日本とはいえ、われわれの現代の幸せは、大東亜戦争で散っていった若者の屍の上にある。
きっと靖国で、私たちの未来を案じていることだろう。
日本のために、ふるさとのために、愛する人のために散っていった、多くの日本兵が。
遠い国の同じ空の下で彼は何を思っていただろうか。
生きたい。帰りたい。そう願う気持ちと、無様に命乞いをするようなことだけはしまいという、まるで日本人の遺伝子に組み込まれているかのように静かに佇む、侍の精神のような覚悟と、ジャーナリストとしての信念と、その信念すらぐらつくほどの家族愛と。
イスラム全体に気を使い、イスラム国とは呼ばないことも、私にはもうけだるいことでしかない。
この国が首突っ込んでしまった以上、もうどうでもよくなった。
やるか。やられるか。
世界のほとんどはそうやって成り立っている。
武器か金かってだけのことだ。
所詮人類は、金で殺しあうか、武器で殺しあうかでしかない。
みんな自分だけが一番いい思いをしたいってことが真実なのだ。
集団となってもまた、その集団の中で一番いい思いをしたいって、みんな心の底ではそう思ってる。
仲間割れしたり奪い合ったり、所詮【欲】でしかないものなのに、無理やり後付けで、かっこつけて正当化するために、どうでもいいような理念をくっつけるだけなわけだから。
日本人みたいにいつもキョロキョロして、流れ弾に当たらないようにビクビクしながら平和を維持するのが、ギリギリの平和法則なのだろう。
遠い国の同じ空の下で日本のジャーナリストが殺された。
日本と世界に、戦争の悲惨さと、戦争で本当に傷つく者たちの姿を伝える為に砂漠に行って。
正しいことが通用しないのがこの世だから。
正義なんて立場によってコロコロ変わるのがこの世だから。
安倍さんがテロを許さないって言っても、テロリストは我々を許さないって思っているんだから。
やつらもやつらの倫理で生きている。
たぶんもう、現代で言うところの【人間】じゃないと思うしかない。
やつらはケモノなのだ。
一世紀前の白人よりはましだろうが、100年以上かけて人類が学んできた戦いや虐殺への後悔が、まったく通用しない現代の獣たち。
しかし。。。。。
誰を恨んでも糾弾しても、武器を作るやつらがほくそ笑むだけ。
(やれやれ〜〜〜〜〜!)
と心で叫びながら、どんどん武器を売る。
武器を売ってたくさん使用してもらってまた作ってまた売って。
そうして高みの見物をしながらシャンパンでお祝いしてる人間が世界中にいる。
そしてその金がまた、世界のテロ集団に一部資金提供される。
武器は作る者たちと、使う者たちの間で、金益となって回り続けている。
ほんの一部の人たちが大儲けして、そして殺し合いの連鎖を作り出すシナリオを作っている。
人類は平和を実現する前に滅びる。
その理由は【カネと時間】に全てをコントロールされ、【欲】で回っている世だから。
金の代わりに名誉を使えることが出来たら、もしかしたら平和な状態が続くかもしれないと思う。
欲の代わりに与えることの名誉が価値となれば、ぎりぎり可能性があるかもしれない。
だけど無理だろう。
絶対にそんな人類には進化しない。
私の子供たちは、もっとひどい乱世を生きることになるのだろうか。