世界一の美女

妻にとても優しくされている夢を見た。

にこやかでやさしい笑顔を見せながら、私の右側に座って、じっと私を見つめながら話しかけている夢だった。



私は妻が大好き。
日中、仕事中でも、時々ふと妻を思い出す。
休日家にいる時は、ずっと妻に関心がある状態。
休日は、妻と子供たちと、いつも一緒に過ごす事が私の理想。
高校生の長女や中学生の長男は、最近休日を友達と過ごすようになった。それはそれで必然だから全然かまわない。
下の3人はまだ小学生と幼稚園だから、親と一緒に過ごす。


私は単独で休日を過ごす事はしない。
たとえば1人でパチンコに行ったり、スーパー銭湯に行ったり、そういうことは基本的にない。必ず誰かを連れて行くか、妻と一緒じゃないとつまんない。
でも、そういう私の気持ちは妻にはなかなか伝わっていない。
妻にとっての休日は、休日と言うよりも、普段の日よりも大変な日なのだ。
主婦は、休みの日であっても食事の支度を休めるわけじゃない。外食をする事はあるが、休日でも朝家族より早く起きて食事の支度をする。
休日でも洗濯物がないわけじゃないし、部屋の掃除だってしなきゃならない。
私も手伝う気持ちがないわけじゃないけど、普段、家事をやっているわけじゃないから、休日に突然段取りよくできるわけじゃない。
気がついた時には、洗濯物畳んだりする時はあるけど、きっと妻から見たら、全然手伝いのうちには入っていないだろう。



妻にすれば、休日は私のような大きな男が家にいて、5人の子供全員が家にいて、みんなが好き勝手してるから、全然家事も進まずに、きっとイライラの境地に達しているのかもしれない。
最近妻はイライラしている事が多い。
仕事から帰ってきて、妻の作った食事を食べていても、彼女は眉間にシワを寄せて、イライラしながらドタンバタンと家の中を歩き、私の気持ちはビクビクしている。
妻にはそう見えないかもしれないが、男はみんな妻の機嫌には敏感である。何もないはずなのに、
(なんでこんなに怒ってるんだろう・・・。何か悪いことしただろうか俺・・・?)
てな気持ちになるのだ。

はあ〜〜っと溜息をつく妻。
妻にとっては、仕事から家に帰ってきた私と、5人の子供たちは全員敵のようである。
宿題の遅い子供に腹を立て、早くやりなさいと怒りながら夕食の支度をし、食事を始めた私が点けたテレビに見入る子供に、早くお風呂に入れと怒る。
私も子供に少し強い口調で指示するが、妻から見れば、飯食いながら、テレビを見ている私の行為が、そもそも諸悪の根源に思えるのだろう。イライラの原因が仕事から帰ってきた私にあるようであり、行動の遅い子供たちにあるようであり、みんながビビる。
何か私が話しかけても、怒った口調で受け答えされてしまい、私の気持ちは沈む。
妻は言葉が下手で、決して悪く思っているわけじゃないのに、冷たい表現をしてしまう癖がある。
近い人に対してだけ、そうしてしまうところがある。
これはあまり人に甘える事のない妻が、本能的に家族に甘えている部分なのではないかと思う。




でも私は妻が大好き。
全然大好きなまま。
子供たちもお母さんが大好き。あんなにイライラしていても、子供たちは私よりお母さんの方が話しやすいみたい。
血のつながっていない他人の夫には分からない安心感が、妻と子供の間にはあるのだろう。
よほど深刻な内容でなければ、子供たちは日常のほとんどの相談を妻に行なう。
困った時や重大な問題の時だけは私の出番だ。




私も家事を手伝ってあげるべきなのかもしれないが、妻は私が手伝おうとするとあまりそれを喜ばない。
私に家事をやらせるのを申し訳ないと思っているようで、決して喜ばない。
時々夕食を私が作ることもあるのだが、それもあまり喜んでいない。むしろ、台所やコンロの周りがが汚れるのを気にしている。
妻は太るのを気にしているので、私たちと同じ食事をとらず、お豆腐とか、野菜とかばかりなので、わたしが作ったときでも食べるのは子供だけだ。
少し気にしすぎている。はっきり言って妻のスタイルは抜群だ。逆に少し細くなりすぎているような気がする。私には熟した体型でいいのになあ。(笑)




夢に出てきた妻は、出会った頃のやさしい美しい妻の様だった。
今でもとても綺麗だけど、夢に出てきた妻は格別だった。
天使みたいにやさしい顔をしていた。
起きてから時間が経つにつれ、だんだんあの夢の中の妻が薄れていくが、それでも夢の中の妻ばかりが浮かぶ。
でもきっと、今日もイライラしている妻に冷たい返事をされるだろうな。
でも全然嫌いになんないな。
怒っていても綺麗だけど、笑っている妻は最高だ。
やさしく話すことだってある。そんな時の妻は、世界一の美女だと思う。