経費かかるなあ〜

私は音楽が好き。
音楽の先生などの話では、絶対音感を持っているという私。
私は子供の頃から音楽が得意で、歌うのが大好きだった。
私は小学校時代に合唱団に所属し、声変わりする前だったため、ソプラノを担当していた。
メロディは一度聞けばすぐにピアノで奏でるし、それは今でもできる。
時々周りの様々な音が、メロディに聴こえ、音楽に変る。
ピアノも買い、ギターも何本か買って、時々奏でるのだが、妻はあまり興味がなく、時々うるさがられるので、弾くタイミングが難しい。
でも、子供たちはピアノを習ったりはしていない。習い事が多すぎて、経費も多いので、我が家、倒産しちゃうもん。






大学生の時、1つ上の先輩に連れられ、なぜか覚えていないが、わざわざ六本木のスナックに行ったことがある。
そこにはカラオケがあり、私は生まれて初めてカラオケの機会に出会った。
人前で歌うのは小学校時代の合唱団以来久しぶりであり、まして、マイクを使って歌うなんて初めてだった。
周りの人に進められ、何か歌おうと言う事になり、選曲したのだが、同時の私は、歌謡曲沢田研二くらいしか知らなかった。
そこで、沢田研二の【時のすぎゆくままに】を選んだ。


私の番が来て、小さな丸い、赤いステージの上に立って歌うと、周りの女性従業員や、他の席の客からも拍手をもらった。
歌いながらマイクでの自分の声の響き方を捉え、歌い方がさらにつかめてきたので、どんどん調子に乗った。
歌い終わると拍手喝さい。その店にいたほとんどの客から、まるで歌手みたいだと褒められ、気分は最高だった。
当時はまだ、巷にカラオケボックスなど、ほとんどなかった時代だったから、カラオケの上手い人も、早々居なかった時代だった。



しかし歌い終わって席に着くと、一人の先輩だけが、私を認めようとしなかった。
同じように音楽が好きな先輩だったが、歌はあまり上手くはなかった。
その先輩は、
「けんいちはカラオケが歌い慣れているよな〜」
と言う。
しかし私はその日が生まれて初めてカラオケを経験した日だった。
「いえいえ、今日初めてですよ」
私がそう言っても絶対に信じなかった。
「うそつけ!絶対にあちこち飲みに行って、歌ってんだろ〜!」
と、どうしても私を認めたくなかったようだった。

予断だがその先輩は、事あるごとに私を批判し、非難し、特に女性がそばに居る時は、私を指して、
「こいつ、スゲエ女ったらしなんだぜ〜!」
と、私は女を騙す極悪人とばかり、ガンガン落とす話に数時間費やしてしゃべり続けるほどであった。
聞いている周りも私も、もう頭がグラグラしてくるほどだった。

それから数年後、電車でばったり会ったとき、私になんだか物凄く自慢話をしてきた。
雑誌に自分の書いたコラムかなんかが掲載されたというような、確かそんな話だった。
私は、『それは凄い!』と褒めたのだが、そのときの嬉しそうな、物凄く勝ち誇った顔を妙に覚えている。物書きになりたいと当時はおっしゃっていた気がする。しかし、自分以外の人にはネガティブの象徴のような先輩で、会うといつも話の上げ足を取られた。





ちょっと脱線したが、そんなわけで、私の母は、私が水泳の道に進ませたことを今でも後悔している。
水泳のコーチだった米川先生に強く勧められ、水泳漬けの毎日となったが、そのせいで、合唱団やピアノの教室をやめざるを得なくなったからだ。
母は、私は音楽の道に進めば凄い音楽家になれ得たと今でも信じて疑わない。
私は笑っちゃうが、母は、真剣である。



長女は歌うのが好きな女の子。
中学校の時に合唱部に所属して、仲間と共に切磋琢磨し、市町村、県大会と勝ち抜いて、全国大会に出場するほどの歌声にまで成長した。


ところが私の転勤で奈良に移り住んだことで、合唱部のない中学への転校と、3年の受験とも重なって、歌を歌う機会はなくなってしまった。
高校に進学したが、合唱部のない高校だったこともあり、ずっと歌うこととかけ離れた生活になった。
何かに打ち込む機会を作ろうと、私たち親の進めもあって、運動をしようとバトミントン部に入部したが、もともと本人もバトミントンに興味があったわけでもなく、続かなかった。


近所に声楽教室があることを知り、娘は習いたいと要望。
5人の子供たちがそれぞれ、スイミングや塾など、全員で習い事にかかる経費は半端じゃないけれど、あれほど一生懸命だった合唱の世界にまた戻れるならば、と、私たちはこころよく了解した。
そして娘はその声楽の教室に通い続けている。
ソプラノの高いキーで歌う歌声は、まだまだプロのそれにはかなわないけれど、本当に綺麗な声を出す。


5人の子供たちにも、それぞれ特徴がある。
歌の得意な子もいれば、音痴な子もいる。音痴はきっと妻に似たのだろう。
(ということにしとこう)


長女には歌う楽しさを満喫して欲しいし、大学も音楽を集中してできる学校を選んで行って欲しいと思う。


けど、5人全員、大学なんて行かせられる金はあるだろうか。
いったいいくらかかるんだ〜??弱ったなあ〜。


経費かかるなあ〜〜