教師の言葉





先日、中学生の息子が、学校の教師に怒られたという話を妻から聞いた。

髪が茶色くて、一部が金髪だと。

まあそれは事実なのだが。

その女性教師が言うには、

『脱色したその髪を黒く染めてきなさい。』

と。

息子本人は、スイミングで泳いでいるので、プールの塩素で色が落ちてしまうと、教師に説明したそうだが、一向に聞き入れてくれなかったと。


私は高校時代を思い出した。


ある水泳部の女子生徒が、髪を金髪に染めていると、男性教師に髪を引っ張られ、廊下を引きずり回されたと、私のところに仲間の女子生徒が助けを求めてきたのだ。
私はすぐに職員室に乗り込み、その女子生徒の髪を引っ張り、引きづり回したという教師が誰なのか、教師達に問い詰めた。

すぐに本人が名乗り出た。


その教師に向かって、水泳選手がプールの水に入っている塩素(消毒液)によって、髪の色が落ち、金髪のようになって、細くなってしまう事を知っているのか、確認した。

その教師は、その事実を知らなかった。

また、全員が全員、髪が色落ちするというわけではなく、肌が色白の子で、体の色素が少なく、もともと髪も少し茶がかったような子が、髪が金髪になりやすいのだ。


私はその教師に詰め寄り、なぜ、理由も聞かず、彼女が毎日どういう生活をしているのか、確認もせず、聴き取りもせずに、髪をつかんで引きづり回すというような暴力行為に及んだのか、問いただした。


周りに示しがつかないとか、そんなことをその教師は言っていたが、そもそも、その生徒は、水泳部でスイミングスクールに毎日通い、オリンピックや日本一を目指しているような試練の毎日を送る、スポーツ選手である。

かっこつけてツッパッて、バイク乗り回して、イキッているようなクソガキとは違う。

髪の色が茶色だからとか、金髪がかっているからというだけで、そんなクソガキと、多感な青春時代をすべて水泳に注ぎ込んでいるスポーツ選手を一緒にして、しかも、一方的な暴力によって押さえつけるという、頭の剥げた、気持ちの悪い中年男性教師に、私は怒りが心頭。
その教師に向かって、その生徒に謝るように迫った。

結局、水泳部の顧問や、教頭先生などが私の言い分を理解してくれ、その馬鹿教師は女生徒に謝った。






あの日の事を思い出し、一体、なぜ教師という職に就く大人は、一部、こういう馬鹿チンがいるのだろうと、怒り心頭。
生徒と話もせず、一方的に【悪】と決め付け、生徒がかっこつけて髪を染めていると思い込むという、世間知らずで無知な女教師。


教えてやるしかない。






息子は色白だ。

子供の頃は、髪が完全に金髪で、父親が私じゃなく、白人じゃないかと思うほど、完全なる金髪だった程であった。

この頃はまあまあ黒っぽくなってきているが、生まれて数ヶ月は、完全な金髪。



私は妻に、その女教師に、とりあえずアポイントを取るように頼んだ。

電話を頂いてもかまわないと伝えた。

じっくりとお話をしなければならないと伝えてもらった。

その際に、毎日スイミングスクールに通っている事と、プールの塩素で髪が脱色されてしまう事、色白の水泳選手は、特に髪が金髪になりやすいこと、それと、毎日水泳に努力している若者と、髪を染めて街で遊んでいる族と一緒にするのかどうか、確認する事、そして最後に、息子が小さい頃の、金髪だった頃の写真を持って行き、女教師に見せる事を指示した。

結局、担任の教師が間に入り、息子の髪にいちゃもんつけた女教師に話をしたようで、私のところにはどの教師からも連絡がなく、アポイントも取れず、速攻で女教師が息子に謝りに行った様であり、妻にも担任教師からも侘びがあったそうだ。

ものすごい必死で謝ってきたと。




私はがっかりだった。

なぜそんなに速攻で謝るような事を、教師たるものが言ったりやったりするのだろう。

しかも、子供、生徒に対して、である。

自分の指導に倫理や信念はないのだろうか。

俺はモンスターペアレンツか?

大人でしかも教師が、子供で生徒に対する、自分の発言に、そんなに速攻で謝るほどの重さしかないってのか??




本当はじっくり、直接話をしたかったのだが、それも叶わず、不完全燃焼。

別に俺は、教師に対して怒りをぶつけようなんてことはまったく思っていなかった。

とにかくじっくり、どういうつもりで生徒を信用していないのか、なぜ、そういう人格の教師になってしまっているのか、これからは変ろうと努力するつもりなのか、それとも変れないのか・・・・。

そういうことを懇々と話そうと思ったのに。

教育の現場が決して理想だけで語れないのは理解できる。

昨今では体罰問題も猫も杓子もで、何でも悪いというばっかりとなって、ゲンコツひとつも許されない現場で、教師達はさぞかし苦労もあろう。
しかし選んだ職。しかも聖職。打算で教員の職を選んだのなら淘汰されなければならないのではないか。
理念や理想を掲げ、自身の胸に秘め、生徒へのたった一言が、後の生徒の人生に大きく影響を及ぼすのだという緊張感を、教師は持たねばならない。

そのことははっきり、私は教職者に理解を求めたい。

私は素晴らしい指導者に育てられた。

マチュアスポーツの指導者から得た教訓は、計り知れない。

そして小学校の時、高校の時、教師に言われた言葉が、今でも心に深く突き刺さっている。

小学校卒業まじかに経験した、安田先生の私へのお叱りは、私の人生訓となっている。

http://d.hatena.ne.jp/sumikenn/20110214/1297661044

高校時代、人を許す事を教えてくれた先生がいた。

http://d.hatena.ne.jp/sumikenn/20110225/p1

一時も忘れたことのない教師の言葉の上に今の私の人格がある。