再会の日



先日東京へ出張した。

大阪の私の部署で、私たち部署の仲間全員で展開しているビジネスモデルの社内プレゼンだったのだが、東京へは、私が大阪に出した、世話になった部下が活躍しているので、前日に乗り込み、近況を聞こう。
そう思い、前日夜に、さっそく酒盛り。

東京という最大のマーケットでありながら、実質事業展開の遅れている中に大阪で一緒に戦った部下を送り込んだ事で、東京の業績がとても気になる。

後発で展開し始めたものの、成熟したマーケットに入り込むことは容易ではない。

実際にやったことのない人は影でグズグズ言う。

そういう陰口が私の耳にも入ってくる。

自分の責任範囲ではないとはいえ、悔しい気持ちになる。

なんとか飛び出すきっかけを作ってあげられないものかと、角度を変えた戦略方法を伝えたいと思い乗り込んだのだ。

しかし開拓精神の塊のような男だからきっとやってくれるだろう。

【石川政実】有事には自衛隊国防軍)に入隊する資格を持つ男。





武蔵境の駅近くに宿泊。近くの居酒屋で飲みながら、ふとFacebookでチャックインしたところ、なんと、あの伝説の我が教え子、【原田長政】がやってきたのだ!

彼の事にふれた記事。

http://d.hatena.ne.jp/sumikenn/20111014/p1




日本大学水泳部は当時も今も、日本の大学水泳界でトップに位置にする名門だ。

25年前、その名門大学の水泳部に、入部資格を持たない学生が、突然目黒区碑文谷の合宿所にふらっと現れ、入部したいと申し出てきた。

それが彼である。

原田長政。現在都内にブックオフフランチャイズ店舗を7店舗展開する実業家である。





25年前の当時、私は大学3年生。彼の入部を許可する権限はない。

当時の4年生のマネージャーが、合宿所の玄関でパンツ一丁で中に手を突っ込み、チンチン弄りながら対応し、

『あのねえ〜キミィ〜〜、日大の水泳部は入りたいと言って、入れるわけじゃないんだよ〜〜』

と門前払い。

理屈は正しいがその対応には全て【徳】がない。

そのやり取りを見ていた同学年の次期マネージャーになる【林宏一郎】が、私のところに慌てて走ってきた。

『けんいち!今、日大の学生が水泳部入れてくれって来た!で、追い返された!いいの〜〜??』


今思えば、この【 林宏一郎 】君のセンスが凄い。

その話を聞きつけた私はすぐに4年のマネージャーに話を確認。

返答は同じ。

入れられるわけないと。

ま、多分そんなところだとは判っていた。




監督に直訴し、この風変わりな学生を入部させた。

それが彼である。

秋田県出身で入部当時の泳ぎは悲惨だったが、彼は後に50m自由形で日本一となる。

彼の飛躍は、自由にならない大学水泳部の規律のなかで、私と彼とがもがき苦しみ、知恵をしぼってトレーニングを組み、私が育ててやろうと決意し、彼は全ての私の指示を聞き、まっしぐらに競泳の道を歩んだ事による快挙だった。

その後私が4年になると、彼には常識ではちょっと考えられないようなトレーニングメニューを行なった。

そのトレーニングメニューについて、批判してくる人も多かった。

陰口を言われ思い上がりと笑われた。

私が水泳部を出た後も、しばらく遠隔操作で練習を組んだ。

それを支えてくれた後輩も多かった。

そして彼はその後、日本チャンピオンになった。






私は25年前、彼が日大水泳部の合宿所に現れ、その後、日大日吉高校の室内プールで彼の体を見たとき、一瞬にして彼の後の姿がイメージできた。

自由形の短距離で日本一となる姿を。

そしてそれを現実にしたのが原田長政という選手だった。








コーチや指導者に不可欠なのは想像力である。

今は亡き我が恩師、【米川先生】の教えだ。

大学3年当時、長政を見た瞬間に私は、恩師のその言葉を思い出した。

(こいつでまた日本一になろう)

そのイメージを実現する為に、いつも考えた。

考え考え考える。

考え考える・・・・・。

どうしたらもっと強くなるか。

どんなトレーニング手法が効果的か・・・・。






ビジネス戦略も同じだと私は思う。

あらゆる戦略をイメージし、その実現の為に細かく戦術を練る。

そうして編み出した戦いの方法論を、この日は東京の部下に分け与えに行った。




そしたら、奇跡的な偶然で、過去、私の学生時代に知恵の結集せ成果だった選手が、今度はビジネスの成功者となって私の前に帰ってきた。



石川と長政がこの席に同席したことは、私の中では感慨深い。

お天道様が用意した新しい課題かもしれん。







しかしなんやかんやと最近飲む機会が増えた。

私も最近は酒の量が増えた。

西日本エリアのかわいい部下達とも最近飲んだ。

みんな各地方拠点で苦労している。



この顔を見てくれ。

この美しい表情を。

どうかみんなが報われるような仕事をして欲しい。

サラリーマンは報われない職業だという人もいるが私はそうは思わない。

仕事が金儲けの為だけというのなら、社会貢献は誰がすると言うのか。

社会保障制度という利益の再分配を、健全に貢献度の高いものにする為には、金のためだけではない仕事に真摯に向き合う人が、この国には必要だ。





しかし飲みに行く機会が増えると経費かかるなあ〜〜