高校時代

中学で家を出て寮での生活になってから、学校では友達を作らなくなった。

学校帰りも急いで帰り、練習に向かう生活で、友達と遊ぶ事などほとんどないので、交流する時間もないのに加え、片や水泳で日本一を目指して田舎から家を出てきた子供と、学校と遊びと、家の往復生活を普通に繰り返している子供の、会話も価値観も、何もかもが話が合わず、むしろ私の方が遠ざかっていたのかもしれない。



高校に進学してからも、朝学校に行っても、一年生の頃はクラスのみんなと話すこともなかった。



教室でもほとんど口を開かない私に対し、同じクラスや他のクラスの女の子が、『付き合ってください・・・』なんて何人か告白に来た。

話した事もない女に、好きですなんて言われ、当時の私は物凄く気持ち悪くなって、『てめえ、俺の何を知ってるんだ気持ちわりい!』なんて言っちゃって、そんなこと何回か繰り返していたら、学校中の女生徒の嫌われ者になっちゃって、余計に友達いなくなって、余計に口きかなくなっちゃったのが一年生の時。

おまけに入って早々、なぜか体育委員にされてしまい、体育の時間の授業始まる前、生徒を並ばせなくてはならない決まりで、並べって言っても聞かない何人かの、髪の毛つかんで無理やり並ばせたはいいんだが、なんとそれが札付きのワル。



次の日トイレに呼び出されてタイマンはるハメに。

殴り合いの喧嘩なんか、した事なかった私。

すげえコエエ〜〜と思いながらも、やるしかないかと、構えるが、できる構えは猪木の構え。だってプロレスしか知らねえもん。




だから顔面ガラ空き。




相手はなんだか知らんが、軽快に、キックボクサーみたいなステップ使って、完全にホンモノ。。。。。

(たぶん強ええんだろうなあ。)

と完全にビビル俺。


ポンポーンとステップ使いながら、相手が放ったジャブが、あっけなくオイラのくちびるあたりにパコーン!と入った。


(あ。。。。。。パンチが当たったぁ〜〜。。。。。)


そう思ったのと同時に、私の中で何かが弾け、音がした。



【プツン】




無我夢中で物凄く相手を殴り、あげく、マサ斉藤式の、横からひねるバックドロップを、トイレのコンクリートの床で炸裂させ、かわいそうなその相手は顔面頭部からドクドクと大流血。


周りに止められて、はっと我に返ってビックリ。

相手の鼻は変な向きにひん曲がり、向かって右側、本人の左目は完全に塞がるほどに腫れあがり、私は馬乗り状態でひたすら動かなくなっていた相手を殴り続けていた。


私のブレザーと白いカッターシャツは、返り血を浴びて、真っ赤っか。。。。

右手のこぶしには、相手の歯が刺さってるし。


(あれぇ〜〜〜???なんかやばいぞぉ〜〜〜!!!???)


大けがさせてしまったと、私は本気でビビリ。

速攻学校ばっくれ、寮に帰った。

寮について米川先生に喧嘩の報告。

『先生、やばいっす。喧嘩しちゃいました。。。』

すると先生が、

『なに!!??で、勝ったんか!!??』

『・・・・・。』



米川先生の関心は、喧嘩をしたことじゃなくって、喧嘩に勝ったか、負けたか。。。

『た、たぶん勝ったかと。。。。。』

『そうか、で、ケガはあんのか?』



そのときは気づかなかったが、その夜泳いでみたら、右肩が動かないほどに痛くなっていた。

肩を攻撃されたわけじゃないので、この痛みのわけはただひとつ。

思いっきり殴りすぎたってことだった。

そしてその日、私が去った後、学校には救急車が来て、その彼は運ばれて、各所の骨折と流血で入院。

そのまま2ヶ月間、長期入院させてしまった。

でも、私はまったくお咎めなし。

相手は地元のワルらしく、(詳しくは知らないのだが)相手だけが入院とさらに、停学処分。

その後数ヶ月で、学校を辞めてしまった。

私立高校だったから、親は大変な思いをして入学金や授業料工面したのだろうに。。。。。

私は特待生で、ビタ一文、お金がかかっていない。

そして高校の、アマチュアスポーツの頼みの綱みたいな生徒だったから、えこひいきもいいところ、私は肩の治療費まで出してくれた。

私はあの彼の、名前すら知らない、覚えていないのだ。

やつは自分で喧嘩を仕掛けてきたのだからまだしゃーないが、親が一番かわいそう。

つまらない喧嘩をきっかけに、停学喰らって、そのまま学校辞めちまって。。。。。


あの彼と、その親には、申し訳ないことをした。

今どこで何をしているだろう。。。。。

すまない。。。。。









それでもそんな馬鹿げた一年生の生活から、二年生になったとき、私は現在の妻と出会った。

そしてそのクラスはかけがえのない思い出のクラスとなった。

その時代の話は過去に綴った事がある。

http://d.hatena.ne.jp/sumikenn/20110225

http://d.hatena.ne.jp/sumikenn/20110512

その一番大切で一番大好きな友達は、友達の域を越え、恋人の域を超え、妻となって私といる。

毎日その妻の顔と体を見ながら、毎日ムラムラしている私がいる。



だが私たちふたりは関西在住。

仲間たちは埼玉県。

遠くて会えない。



先日、私たちの担任だった、宇田川先生と、クラスの仲間の飲み会があった。

電話でみんなと久しぶりに話したが、近くにいられたら飛んでいくのに。

左から【古川こと、ふる】
となりが【オーヤンこと、まり子】
そして【竹男】

そして宇田川先生。。。。。




暗く悲しい一年生の時代を完全に打ち消し、最高の思い出をくれた仲間たちと武内。

その最高の仲間との出会いと共に、私はだんだん競泳生活をフェードアウトさせていった。