モデル



高校時代、私と妻は、互いの恋人に隠れて二人でよくデートをした。

互いに一番好きな相手は私にとっては当時の妻であり、妻にとっては当時の私だったからだ。

だったらなぜお付き合いをしていなかったのか、別に恋人など必要なかったじゃないかとも言えるのだが、かっこよく言えば、互いに互いの存在が好きすぎて、本気になっていく自分が怖かったのだろうと思う。

傷つく恐怖が、互いに一歩を踏み込めなかった。

隣の席だった妻をいつも横目で見ながら、自分のふがいなさを感じた事を良く覚えている。




デートのコースは、当時の妻が通っていた銀座のモデル事務所で行なわれているウオーキングレッスンだった。

妻自身が望んでモデル事務所に入ったわけではなく、母親に入れられただけだといっていたが、事の真相はわからない。
妻に効いても覚えていないらしい。


しかし当時のキャンキャンのような雑誌に掲載された彼女を見て、一見学校ではそれほど目立つような行動をしない彼女が、こうして雑誌のモデルをやっているという意外性に、私なりに彼女を尊敬していた事も覚えている。

かわいい女性だった。







昔取った杵柄じゃないが、あれから数十年経って先日妻が某有名ベッドメーカーのモデルのお仕事をした。

最初こそ少しぎこちない笑顔で、ポーズの作り方もオドオドしていたが、数分経って慣れてくると、カメラマンが何も指示しなくても、少しづつポジショニングを変え、表情のバリエーションも変えていく妻に、あの高校時代から数十年の間、5人の子供を産み育て、現在のバリバリの母親をやっている女性とは思えない、まばゆいまでの輝きに驚く私。

いいねえ〜〜〜。








私は1人で主旨を勘違い。
自分の撮りたい箇所を、ひたすら撮り続けました。

いいねえ〜〜〜〜。