果敢な部下たち
もう25年近くまともに泳いだことがない私が週末マスターズに出場した。
夏休みに子供をプールに連れて行ったことはあるが、それでもまるで風呂に使っているかのごとく、ほとんど泳がないもと水泳選手のデブ親父。
それが突然クロールのレースに出場。
そして、会社の水泳の完全ど素人も私と共に、決死の覚悟で出場。
溺れるか。
生きて帰れるか。
会場は大阪なみはやドーム。
聳え立つ会場の施設におびえながら会場に到着。
物凄い参加人数である。
開会式とラジオ体操して幕開け。
そしてなぜか、部下のジョンが選手宣誓。
宣誓!我々選手一同は、スポーツマンシップに則り・・・・・と完全にベタな宣誓をやってのけ、会場は静まり返る。
フリーの25mを泳いだら13秒もかかり、しかも飛び込みの衝撃にビックリ。
昔なら何の気なしに当然のように行なっていた飛込みすら、まともに出来ない体になっていたではないか。
そして部下達7人も、まともに泳げない体(テイ)で、果敢にも25mや50mに出場。
物凄い大量の水を飲みながら、溺れる寸前の状態で何とかゴール。
それぞれたった一種目に出場した程度ですでに死亡。
それなのに大会主催者の【ボブ】に、強制的に3種目くらいエントリーされ、荒波立てて、凄まじいスピードで泳ぐ、先日まで現役だった猛者の横で、溺れながら進む。
横の選手の波を、そのままゲボッと飲み込んで、白め剥きながら泳ぐ部下達に、私はその勇気に感動。
泳いで数時間経っても、一向に汗が引かない私。
改めて水泳が全身運動だったんだなあなんて感心する。
大会会場のプールを見て、よくこんなところで行ったり来たりを繰り返して、あんなスピードのまんまで泳いだなあと、遠い過去の記憶を探ってはみたが、もうぜんぜん思い出せない。
脳に電気信号が届かないほど、頭にも脂肪が溜まっているみたい。
体は痛く、首が動かなくなり、泳いで数時間経っても酸欠状態で頭がガンガン痛い。
ある程度覚悟はしていたが、ショックは隠せない。
馬鹿なことに100mのフリーに出場してしまった。
1:09.72という信じられない遅いタイムだったが、そんなことよりも、苦しくて苦しくて、本気で75mで止まろうかと泳ぎながら悩んでいたのに、目の前に壁が現れたら、つい、クルッとターンをしてしまった。
中途半端な本能が、徹底的に追い込まれたデブに反応する。
ターンしてしまった為、壁で止まるならともかく、途中で立つのはいくらなんでも恥ずかしいと、必死で泳ぐ泳ぐ。
誰が見ても一見して溺れ気味にしか写らないクロールでラスト25mを泳ぎ、ゴール。
壁から上がれず、端のコースから階段で上がった。
しかしお昼は妻の手作り弁当8人前。
出場者の部下達に、1人づつに分けて作ったから揚げ弁当が、私の救いだった。
おいしかった〜〜〜〜。
ずっと昔からの付き合いの後輩、【ちんた】(長崎伸太郎くん)がスターターのお手伝い。
ちゃんとやってるじゃん!
打ち上げ。
楽しそうな部下のジョンだが、このあと潰されて、吐いて吐いて吐きまくってまたしても死亡。
私は紳士に、チンタと記念撮影。
昔からの競泳仲間の先輩。大学も所属も違うのだが、選抜選手だった為、いつも一緒にいたような記憶です。
そして打ち上げも3軒目のお店に到着。
そこに【神】が登場。
打ち上げ参加者の全員が、次の日完璧なまでの腹筋の筋肉痛に。
笑いすぎて息ができなくなり、失神寸前で全員が朦朧とするほど、どんな芸人の芸よりも面白い、【神】のカラオケ芸。
この日、【神】は、身を挺して私たちを心の底から楽しませてくれました。
最後は大阪鶴見の【鶴麺】で、ラーメンに2ハイ食べて締め。
柳生さん。いつも一緒で楽しいね〜〜!!
日曜日。
前日のレースと、深夜までの泥酔で、よぼよぼ二日酔いと思いきや、妙に体がすっきりと早々に目覚め、次女のハンドボールの練習見学に。
中学とはいえ、部活動の厳しい練習に、積極的にがんばっている姿を見て、我が子ながら、『いい子だなあ〜〜』と感心する。
いつか引退しても、細々でもいいからトレーニングは続けておくように、子供たちには伝えようかなあと、自分の不様なレースを思い出しながら思う私でした。