鬼十則

先日大学の講義で電通鬼十則について聞かされた。
鬼十則自体は共感するところもある。
仕事をする上では大切な理念だと思う。
仕事を大変と思うか、仕事を使命と思うか、仕事を人生と思えるか。
その意味で、仕事をする人はここの決断が重要だろう。

今回、電通の女性社員が過労自殺してしまった。
パワハラやセクハラまがいのこともあったようだが、主観も含まれているだろうから、私に真相はわからないし語れない。

ただ、言えることがある。

鬼十則を作った吉田秀雄さんの時代と現代では、あらゆる条件が変わっているということだ。
倫理的に違いはないと思えても、様々なことに大きな変化があり、仕事をする上でのインフラがまったく変わってしまっている。

携帯電話が出来て、人はまったく【待つ】ことをしなくなった。

誰とでもすぐに連絡が取れ、疑問はすぐに解決し、不満もすぐにぶつけることが出来る。

折り返しするだけでも【イラッ】とされるほど、タイムリーに全てを要求されるのだ。

つまり、電話する側だけでなく、電話される側も常に一瞬で判断できなければならず、その判断を一瞬で成す為の企業インフラを構築する必要があり、そこに多大なコストがかかり、人的能力を要求される。

わからないことがあることが、まるでありえないように、全ての人に同じ要素、品質、能力を要求され、人間に、人間であるな!と言わんばかりに同じクオリティを要求されるのだ。

目立った能力より、高い品質の平準化を要求される時代。

人類は利便性を追及し、様々な道具を発展させた。
しかしその効果は利便性として返っては来ない。
息苦しく囃し立てられ追い詰められる生活となって返って来た。
利便性の追求が暮らしにくい不幸せな生活スタイルを作り出したのだ。




吉田秀雄さんの時代は、会社から出かけると、帰ってくるまで連絡が取れなかった時代だ。
定期連絡を公衆電話で3時間ごとにするまで、営業とは連絡がつかなかった。

ほとんどのシーンで、朝出かけると夕方まで連絡の折り返しは来なかった時代だ。

ファックスもなかったから、資料は持っていくか郵便で届くしかなかった。

つまり、実質、すべての仕事がゆっくり進んでいたのだ。

時間の変化は仕事を掛け算にように増やした。

昔は仕事を足し算で増やし、どんどん力を付けていった仕事人も多かったと思うが、現代は掛け算の時代だ。

そして現代は、【金儲けの上手い人が偉い人】という市場倫理が大半を占めている。


本当にイノベーティブな仕事をする人は一握りであり、社会経済のほとんどは、毎日毎日、どれだけ相手の足をすくって自分が儲けるか、にかかっている生活なのだ。


追い込まれ方が違う。物理的にも時間的にもあまりにも利便性へのベース要求が高い時代だ。


ぎりぎり私も生きている気がする。

こんな時代になるとは夢にも思わなかった。そして便利な世の中だとも一度も思ったことはない。

本当に不便な世の中になってしまった。


我慢しない。辛抱しない。

答えを急ぐ。待たない。



そしてメールの定着と、ネット書き込みなどの影響で、顔を突き合わせると何も話せない意気地なしでも、アンダーな世界では、極端に発言力を持ったりする世界になった。

脱線するが、顔を突き合わせて話が出来る、本質的に人間力のある人ならば、ネットでも偽名で好き勝手ことを書いたりはしない。
目を見て話せない○ンカス野郎ばかりが暴言はいて快楽を得る。


マスコミもマスゴミに成り果てた。

いや昔からそうだった。


私も我が社の社長のように、使命を探す時期かもしれない。

自分がこのような世の中で生きてきた意味を。

この先どうやって活かすべきか。

人類のために何が出来るか。

自分の活きる範囲の中で、関わる多くの人々に、どれだけ貢献できるのか。


鬼十則のように仕事をするべきか。

やはり何か違う世界観を作っていくべきか。




鬼十則


1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。




現実の企業では・・・・・・

1)仕事は自ら創るな。みんなでつぶされる。
2)仕事は先手先手と働きかけていくな。疲れるだけだ。
3)大きな仕事と取り組むな。大きな仕事は己に責任ばかりふりかかる。
4)難しい仕事を狙うな。これを成し遂げようとしても誰も助けてくれない。
5)取り組んだらすぐ放せ。馬鹿にされても放せ、火傷をする前に…。
6)周囲を引きずり回すな。引きずっている間に、いつの間にか皆の鼻つまみ者になる。
7)計画を持つな。長期の計画を持つと、怒りと苛立ちと、そして空しい失望と倦怠が生まれる。
8)自信を持つな。自信を持つから君の仕事は煙たがられ嫌がられ、そしてついには誰からも相手にされなくなる。
9)頭は常に全回転。八方に気を配って、一分の真実も語ってはならぬ。ゴマスリとはそのようなものだ。
10)摩擦を恐れよ。摩擦はトラブルの母、減点の肥料だ。でないと君は築地のドンキホーテになる。


これは裏の鬼十則ですって。。。。

わかるわ〜〜〜。周り、こんな人ばっかりだもん。